NFTが抱えている大きな問題の1つとして、著作権関係が挙げられます。

発展の真っ只中にあるNFTは法の整備が追いついておらず、まさに無法地帯。

当然のように売られているコンテンツが、無許可で転売されているものかもしれないのです。

この記事では、著作権がかかわるNFTの問題について解説しています。

知らないうちに著作権を侵害する、あるいはされる事態を防ぐため、著作権について知識を得るとよいでしょう。

NFTの著作権

最初にハッキリさせておきたいのが、NFTと著作権は違う点です。

「NFTは権利書であり、購入すれば著作権も手に入る」と勘違いされるときもありますが、単純な売買で著作権が渡ることはありません。

マーケットプレイスによっては、その旨が利用規約に記載されています。

まずは著作権の概要を確認していきましょう。

著作権=著作物の扱い方に関する権利

著作権とは、作ったコンテンツを自由に扱える権利といえます。

著作権には10以上の権利が内包されており、その内容は著作権法第21~28条で挙げられています。

いくつか挙げると、コンテンツを複製できる複製権や、公に展示する展示権、内容を口頭で伝える口述権など。

著作権がなければ、コンテンツを公開するためのあらゆる手段を行使できないと考えていいでしょう。

NFTの著作権を持つのはコンテンツ作成者

NFTアートやNFT音楽を購入しても、コンテンツの作成者が著作権を持っています。

著作権も手に入れるには「著作権を譲渡する」という契約を結ばなければならないため、NFTを購入したからといって著作権まで移動しません。

これは、有名な画家の絵を買っても購入者が著作権を得られないのと同様です。

あくまでもNFTというトークンデータを購入するのであって、作品自体の著作権を買うわけではないのです。

著作権と所有権は別

「NFTを保有する=作品の著作権を持つということ」と考えているかもしれませんが、これは正しくありません。

なぜなら著作権と所有権は別もので、それぞれを違う人が持つこともありえるからです。

たとえば描いた絵を人に販売した場合、絵を描いた人が著作権を、絵を購入した人が所有権を、それぞれ持つことになります。

この場合、購入者が絵を所有することが保証されますが、絵の扱い方については著作権を持つ作者に従わなければなりません。

NFT作品は自由に利用できるのか?

著作権は作者が持ち続けると説明しましたが、結局のところ購入したNFT作品は自由に利用できるでしょうか?

結論からいえば「コンテンツの作者が決めた範囲を守らなければならない」という答えになります。

作者が決めた範囲での利用でなければ著作権侵害となって罰則の対象となるので、必ず購入前に利用範囲を確認してください。

自由に扱うことはできない

商品を購入した人が著作権を持たない以上、NFT作品を自由に扱うことはできません。

NFT作品の利用方法を決めることができるのはコンテンツの作者のみ。

作者が認めていない方法でコンテンツを利用すると、著作権侵害となってしまいます。

購入したからといってNFTを好き勝手に扱わないようにしましょう。

購入前に利用法は確認するべき

NFTを購入する際は、どこまでの範囲で利用できるか事前に確認してください。

「画像だからここまでできる」「音楽だからこういう利用はできない」といった線引きはありません。

著作権で制限する範囲は作者によって異なり、転売を全面的に認める人もいれば一切認めない人も存在します。

また、著作権には展示権や演奏権も含まれているため、公共の場でイラストを展示したり音楽を流したりできるかどうかも、作者が決めた範囲に従う必要があります。

購入してからトラブルが発生しないように、想定している使い方が許されているかのチェックをあらかじめ行うようにしましょう。

著作権を侵害すると罰則

もし著作権を侵害して訴えられた場合、法的な罰則を受ける可能性があります。

著作権法第119条1項で、懲役10年の懲役もしくは1000万円以下の罰金、あるいはその両方が著作権を侵害した人の罰則として定められています。

ネット上には著作権を侵害している人が多くいますが、その行為にはこれだけの罰則を受けるリスクがあります。

NFTの場合に限らず、あらゆるコンテンツにおいて著作権は侵害しないように注意してください。

著作権にまつわる問題

ここまでで説明してきたとおり、NFTの著作権はコンテンツ作成者が持ち続けています。

しかし、著作権を侵害しているデジタルコンテンツがNFT化されているのが現状です。

NFT市場は生まれて間もないマーケットなので、著作権を保護する仕組みはまだまだ未成熟。

具体的にどういった問題が起きているかをこれから紹介していきます。

NFT化してもコピーできる

NFT化してもコンテンツ自体はコピーできてしまうため、NFTでは著作権保護になりません。

コンテンツをNFT化するメリットとして挙げられるのが非改ざん性ですが、これはコンテンツが唯一無二になるという意味ではありません。

NFTはいわば証明書のようなもので、証明書付きのコンテンツはその一点のみになるものの、証明書なしのコンテンツはいくらでも複製できます。

そのため、NFTにしたからといって著作権問題が解決することはないでしょう。

著作権を持たない人もNFT化できてしまう

コンテンツをコピーできることも問題ですが、誰でも簡単にNFT化できてしまう点はより深刻な問題となっています。

NFT化するサービスを利用すれば、ネット上で拾ってきた画像でも簡単にNFTアートにすることが可能です。

これを悪用すると、NFTマーケットプレイスで販売している画像をコピーし、新たにNFT化して勝手に売り出せてしまいます。

NFTについてはまだまだ法整備が整っていないため、こうした行為を取り締まれないのが現状です。

事例:Twitterのbotで大量の画像を収集・販売

2021年に入ってから、Twitterのbotが画像を集めてNFT化したうえで販売していた事例があります。

Twitterにあげている画像を勝手に利用されるため、NFTについて知らなかったり関わりがなかったりする絵師も画像を勝手に売られていたことになります。

これは明らかな著作権侵害です。

botをブロックすれば対策できるようですが、新しくbotが作られてイタチごっこになることが目に見えています。

NFTを購入するときの注意点3つ

以上の問題を踏まえたうえで、NFT購入時に注意したい点をまとめると3点挙げられます。

  1. NFTの利用範囲は購入前に確認しなければならない
  2. コンテンツ内容が複製・販売される可能性がある
  3. 著作権を侵害しているNFTが市場に存在する

これらを押さえておかないと損につながりかねません。

自分の身を守るために、注意点を頭の片隅に置きながら購入を検討しましょう。

購入前にNFTを利用できる範囲を確認する

NFTを購入する前にの利用範囲を確認するのは必須といえるでしょう。

NFTを購入するからには、購入したコンテンツを何かしらの形で利用するのが目的のはず。

その利用方法がコンテンツ作成者の望むものでなければ、著作権侵害で訴えられる可能性があります。

「この使い方なら大丈夫だろう」と決めつけず、想定している利用方法が許可されているか確認をとってください。

内容が同じNFTが新たに販売される可能性がある

同じコンテンツ内容のNFTが何個も作成される可能性があることは考慮しておきましょう。

購入したNFTは唯一無二ですが、NFTだけ異なり内容は同一の商品が売られる可能性はじゅうぶんありえます。

たとえば、同じNFTアートが20個同時に出品されることもあります。

また、完売後にあらためて同じ作品が追加で出品されることも、ないとは言い切れません。

NFTコンテンツを追加するのも削除するのも作者次第なので、どのようにNFTを展開していく売り手なのか調査しておくとよいでしょう。

権利を侵害しているコンテンツかもしれない

著作権を侵害して得たコンテンツをNFT化して売っている可能性があることを、頭に入れておきましょう。

ひと目見てわかる有名なコンテンツなら侵害されていると判断がつきやすいですが、個人のイラストレーターがTwitterに投稿している絵ともなれば、すぐに判別するのは難しいでしょう。

著作権に遵守している作品かどうかを見極めるには、販売者はもちろん、必要であれば以前の持ち主までさかのぼってコンテンツ作成者の是非を確認してください。

NFTゲームの商品を模して作られたNFTが市場に出回っている・・・・・・ということも実際にあるので、多少面倒でも元の持ち主を確認しておくべきです。

NFTを販売するときの注意点3つ

自分がNFTを販売するときに注意すべきは次の3点です。

  1. 著作権をはじめとした権利を侵害しない
  2. 購入者が安心できるように情報を開示する
  3. NFTには悪いイメージがあることを認識しておく

NFTは高額で取引されやすい商品なので、不正なコンテンツを売って稼ごうとする人があとをたちません。

そうした行為による影響をNFT市場全体が受けているため、ここで紹介する注意点を胸に留めておきましょう。

権利を侵害しているコンテンツを販売しない

大前提として、著作権は侵害しないでください。

人の画像を勝手に商品化したり、版権のある作品を題材にしたりすれば、罰則を受けることになっても文句はいえません。

さらに、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)を適用すると利用規約に書いているマーケットプレイスが増え、著作権を侵害したNFTコンテンツを削除するようになりつつあります。

仮にコンテンツを販売できたとしても、コンテンツが削除されて購入者とトラブルになるでしょう。

NFT市場をより活発にするためにも、著作権への配慮を心がけてください。

情報を開示して購入者を安心させる

コンテンツに関連する情報はすべて開示し、購入者を安心させることを心がけましょう。

たとえば、NFTコンテンツをどのように利用できるか、できるだけ詳細に明記してみてください。

NFTアートを例に挙げるなら、商用利用や転売、改変、展示などの可否を伝えるとよいでしょう。

また、TwitterなどのSNSへのリンクを公開しておけば、不正なコンテンツではないと判断する材料を与えることができます。

出品物を売れやすくする意味もあるので、購入者が安心できる情報はわかりやすくハッキリと書くようにしてください。

NFTに悪いイメージを持つ人もいる

著作権を侵害しているイメージが強いNFTを販売すると、周囲から反感を買うことになるでしょう。

NFTが抱えているイメージは、その悪印象ゆえにNFT作品を作らないクリエイターが存在するほどです。

さらに、著作権と直接関係ありませんが、ブロックチェーンの技術をNFTが活用しているために環境問題の観点から嫌っている人も多くいます。

普通のデジタル作品を提供するような軽い気持ちでNFTを販売すれば、炎上沙汰になって痛い目を見るかもしれません。

著作権保護にむけた今後の課題

NFTの問題に個人で対応策をとっていくことはできますが、それだけでは根本的な解決にはつながりません。

問題を解決するには、NFTを販売しているマーケットプレイスを含めた業界全体の仕組みを改善しなければならないでしょう。

今後、NFTの需要がさらに増えることが予想されています。

さらなる被害拡大を防ぐためには、これから挙げていく課題を解決する必要があるでしょう。

NFTの知識を広く周知する

クリエイターの権利を守るための知識を一般化するのは、これからNFT市場を展開していくために解決すべき課題の1つです。

NFTが広まっていない今のままでは、知識がなければ時間をかけて仕上げたコンテンツをあっさりと盗まれ、金儲けに利用される構図が形成されてしまいます。

大手企業がNFTを取り入れることがニュースで話題になるときもありますが、それでも多くの人はNFTを知りません。

NFTを使うにしても使わないにしても、知識は広く周知するべきでしょう。

利用範囲や条件の提示をスタンダードにする

NFTの利用範囲は必ず提示しなければならない体制を整えていく必要があるでしょう。

意図的に著作権侵害をする人はさることながら、NFTを購入すれば自由に利用できると思い込んでいる人も存在します。

マーケットプレイス側で条件提示を強制する仕組みがあれば、取引後のトラブル軽減が見込めるでしょう。

著作権保護の仕組みを強化する

自分の力だけでは著作権を侵害したNFTの出品を止めるのにも限界があるため、自動的に侵害を検出できる仕組みが必要です。

たとえば、デジタルアートの投稿や交流を通じてコミュニケーションができるサイトであるDeviantArtでは、NFTとして出品されている作品との類似性をチェックするソフトが導入されました。

DeviantArt Projectと名付けられたこのソフトは、元画像を左右反転したり色調を変えたりしても同一と認識できるため、無許可で転売されている自分の作品を見つけやすくなります。

このような機能がほかのジャンルでも導入され、それを受けてマーケットプレイス自体が著作権を保護する動きをとりやすくなれば、無秩序な現状を変えるきっかけとなるかもしれません。

まとめ:著作権を守ってNFT市場を活性化させよう

著作権の保護に努めることで、自分の身を守ることやNFT市場を発展させることにつながっていきます。

NFTは著作権以外にも、参入ハードルや環境問題といった問題を抱えていることもあり、NFT自体を問題視する声はあがっています。

しかしNFTが発展すれば、デジタルなデータを唯一性のある資産として扱えるようになることが期待できます。

唯一性をもつコンテンツが作成可能になることでクリエイターの創作意欲を促進させ、デジタル産業を成長させるきっかけになりえるNFT。

NFT市場を活性化させるために、利用する一人ひとりが著作権をしっかりと意識し、遵守していきましょう。

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