NFTについて情報収集していると、NFTは流行らないという話を耳にすることがあるかもしれません。
たしかにNFTは流行らないと言われるだけの問題を抱えているため、NFTを扱うことに不安を覚えるという方も多いでしょう。
しかし、NFTはこれから日本でも流行り、利用されるようになる可能性も十分に持ち合わせています。
この記事では、NFTが流行らないと言われる理由と、今後流行る可能性が高いと思われる根拠を挙げ、解説します。
✅NFTは扱いが難しく、セキュリティ面でも不安が残っている
✅日本人の多くはNFTやアート文化に馴染みがないため、流行りにくいと考えられる
✅新たなサービスや使用事例が登場することで、NFTの問題点は解消されつつある
✅日本のコンテンツはNFT向きなので将来性がある
NFTが流行らないと聞いて不安を感じている方は、本記事を読んでみてください。
NFTが流行らないと言われる理由
NFTが流行らないと言われている理由を5つ紹介します。
NFTの根本的な問題に関わる部分なので、ここで挙げられるデメリットを理解せずにNFTを扱うのは危険です。
流行らないと考えられる理由を知ると同時に、NFTが抱える問題についても把握しておきましょう。
扱うのが難しい
現金などの資産に比べて、NFTを扱うには専門的な知識が必要です。
ブロックチェーンや仮想通貨といった前提知識がなければ、NFTの概念を理解するのも難しいでしょう。
NFTについて理解できたとしても、送信先を間違えて資産を失う可能性があるなどの理由により、慎重に扱わなければなりません。
また、仮想通貨の価格変動をはじめとしたさまざまな要因でNFTの価格も変わるため、保有している間に手持ちのNFTが無価値になる可能性も。
扱うハードルが高いNFTを、一般的なユーザーに普及するのは難しいというのが、流行らないと言われる理由の1つです。
購入するのに手間がかかる
NFTは基本的に仮想通貨を使って売買しているため、購入するのに手間がかかるという問題があります。
具体的には、NFTを購入するために以下のような手順をこなさなければなりません。
・仮想通貨・NFT用のウォレットを作成する
・仮想通貨を購入するための取引所で口座を作る
・取引所で仮想通貨を購入してウォレットへ送る
・取引するネットワークに仮想通貨をブリッジ(移動)させる
日本の取引所で販売していない仮想通貨を使ってNFTを購入したい場合は、スワップサイトで仮想通貨を交換する手間などもかかります。
日本円で購入できるNFTも存在しますが、そうしたNFTは全体から見ればほんの一部のみ。
取引シェアの大きいOpenSeaなどのマーケットプレイスで取引するのであれば、手間をかけて仮想通貨を用意しなければならないでしょう。
手数料がかかる
NFTはブロックチェーンを利用しているデジタルデータなので、ブロックチェーン上での取引にかかる手数料、すなわちガス代がかかります。
ブロックチェーンの混雑具合によってガス代の価格は変動するため、NFTの購入時にかかるガス代は実際に買うときまでわかりません。
とくにNFTが取引されているイーサリアムブロックチェーンでは、ガス代だけで数千円かかることもあり、NFT本体よりもガス代のほうが高くなるケースも。
NFT取引をこれから始める人にとって、ガス代が障壁となる可能性はじゅうぶん高いです。
投資目的のイメージが強い
NFTの認知度が上がり始めた2021年当時は「NFT=稼げる」というイメージが強く、投資目的でNFTを始める人が多かった背景があります。
たとえば、2021年2月にオークションで販売されたNFTアート「Everydays - The First 5000 Days」は、約75億円で落札されたことで有名です。
ほかにも、最古のNFTアートコレクションとして知られている「CryptoPunks」は、無料で配布されたにも関わらず、2022年2月に8000ETH(約27億円)で取引されました。
こうした販売例のインパクトが強烈なために投資のイメージが根付き、投資を望まないユーザーを敬遠させる要因になったと考えられます。
ハッキングやスキャムの危険性がある
ブロックチェーン界隈ではハッキングの被害報告が多くあがっており、資産を保持する危険性が見受けられます。
2022年8月にはソラナ(Solana)ブロックチェーンの特定ウォレットを対象にしたハッキングが発生し、被害総額は500万ドル(約7億円)を超えました。
また、スキャム・詐欺サイトやなりすましによって被害を受けている人も多いです。
こうした被害を防ぐために対策をとらなければならない点は、初心者にNFTを勧めづらい要因の1つとなっています。
日本で流行らないと言われる理由
仮にNFTが普及したとしても、日本では流行らないと考える人もいます。
なぜなら、NFTに対する日本人や政府のスタンス・体制が問題となるからです。
ここでは、日本でNFTが流行らないと考えられる具体的な理由を4つ挙げていきます。
NFTを知る人が少ない
海外に比べて日本のNFTに対する認知度が低い点が、日本で流行らない理由に挙げられます。
アメリカの世論調査企業The Harris Poll社がおこなった2021年3月の調査によると、18歳以上のアメリカ成人がNFTについて知っていた割合は81%とのことでした。
対して、三菱UFJリサーチ&コンサルティング社がおこなったアンケートでは、NFTについて知っている日本成人は40%以下に留まっています。
このように日本ではNFTの認知度が低いため、流行る土壌ができていないといえるでしょう。
アート文化が浸透していない
日本では海外ほどアート文化が浸透しておらず、NFTアートが流行りにくいと言われています。
海外では家具のように購入するほどアート文化が根付いているのに対して、日本ではアートを買う優先順位はそれほど高くありません。
また、アメリカや中国、フランスなどに比べて、国家予算のうち芸術等に充てられる文化予算額が少ないという調査結果が出ています。
アート文化が乏しい日本では、NFTアートを購入する意義を感じられないユーザーが多く、流行するのが難しいと考えられるでしょう。
法整備が整っていない
NFTが最近登場した技術だというのもあって、日本の法律においてNFTに関する明確な規定がありません。
そのため、NFTの取り扱いはケースバイケースとなり、暗号資産の専門家でも判断が難しいパターンも多いです。
たとえば、NFT販売時の所得区分について明文化されていないため、暗号資産に基づいた考え方で各々決めているのが現状です。
法律でNFTの扱いが定められない限り、NFTを広く普及させるのは難しいでしょう。
仮想通貨に対する税金が厳しい
NFTの取引に仮想通貨を使うため、NFTの売上にかかる税金が高い点が問題となります。
税金が高くなる原因は、分離課税ではなく雑所得として計上される点です。
FXや株式のような投資は分離課税が適用されており、税率が一律20.315%に定められていたり、損失を3年間繰り越せたりするメリットがあります。
しかし仮想通貨は分離課税にならないため、総合課税の対象となって税率が上がったり、損失を繰り越せなかったりします。
所得によっては税率55%に及ぶので、稼ぐほど不利になるパターンも起こり得るでしょう。
(参考)国税庁|所得税の税率
将来的にNFTが普及すると考えられる理由
ここまでNFTが流行らないと言われる理由を紹介してきましたが、将来的にNFTは広く普及し、利用されると思われます。
なぜなら、流行らない要因は少しずつ解消されており、NFTを利用する環境が整いつつあるからです。
以下では、NFTが普及すると考えられる理由をまとめているので、今後のNFTがどうなるか想像しながら読み進めてみてください。
簡単に利用できるサービスが増えている
扱いが難しい仮想通貨やNFTを、簡単に扱えるようになるサービスが続々と登場しています。
・日本円だけでNFT取引ができるウォレット(SBI WEB3 WALLET)
・好きな仮想通貨で決済できるシステム(Slash.fi)
・難しいコードを書かずに独自NFTを作成できるサービス(thirdweb)
・ウォレットを持たないユーザーにもNFTを配布できるサービス(NFT Shot)
・ポップアップで通知してくれるセキュリティツール(KEKKAI)
こうしたサービスの開発が進めば、PayPayなどの電子決済のような手軽さで仮想通貨・NFTを購入できるようになる可能性が高いでしょう。
さまざまな分野で利用できる
そもそもNFTはデジタルコンテンツに唯一性を持たせる技術であり、利用できる分野はさまざまです。
たとえば、メンバー権を証明するデジタル会員証や、デジタル書類の署名などにNFTを利用することで、高いセキュリティ性を持たせることができます。
また、数量限定のデジタルアイテムは複製されてしまえば価値が下がりますが、NFTを付与することで保有者の権利を守れるでしょう。
投資目的のNFTアートだけがNFTの全体像ではないので、どのような形であれNFTを生かしたサービスは提供され続けると考えられます。
メタバースやゲームとの相性がよい
NFTの強みは、メタバースやゲームとの相性がよい点にあります。
メタバースは企業でも導入されるほど需要があり、ゲームはスマートフォンで遊ぶユーザー数が全体で600万人を超えています。
NFTを利用したメタバースやゲームは年々増えているので、いずれNFT市場は大きくなると予想できるでしょう。
とくにゲームは、ダウンロードコンテンツ(DLC)を購入する層に魅力を伝えることができれば、一般的なゲームでNFTが採用される可能性が高くなる見込みがあります。
個人でもビジネスに活用しやすい
NFTを利用したコンテンツは簡単に作成できるので、個人でおこなうビジネスにも取り入れやすいです。
たとえば、デジタルイラストを描いてOpenSeaなどのプラットフォームにアップロードすれば、そのままNFTアートとして販売できます。
イラストに限らず、3Dモデルや写真、動画、音楽などのデジタルコンテンツであればNFTとして売ることが可能です。
大量のNFTを一斉に発行できるプラットフォームもあるので、安い価格で大量に販売するといった戦略もとれるでしょう。
もちろん、企業がNFTを導入することも可能で、そのためのサービスもさまざまな企業が提供しています。
二次流通で利益を得られる仕組みがある
デジタルコンテンツをNFTにして販売する大きなメリットとして、二次流通によって利益が発生する点が挙げられるでしょう。
NFTを作成する際にロイヤリティを設定することで、二次流通の売上の一部が作成者に送られるようにできます。
たとえば、ロイヤリティを10%に設定してAさんに販売したあと、AさんがBさんに商品を売ると、売上の10%があなたのもとに届きます。
こうしたロイヤリティの仕組みを実装できるため、デジタルコンテンツをNFTにしたほうが利益を得られるチャンスが多いといえるでしょう。
日本でも利用される可能性が高い根拠
海外と比べてNFTが認知されていない日本でも、近い将来にNFTが利用されるようになる可能性は高いです。
日本でNFTが利用されるであろう根拠を、以下で4つ解説します。
日本発の大型プロジェクトが売れている
すでに日本人が作成したNFTプロジェクトは多数存在しており、世界的に認知されているものもあります。
代表的な例として、イケダハヤト(イケハヤ)氏の「CryptoNinja」が挙げられます。
CryptoNinjaは17.5ETH(約330万円)で取引されたこともあるNFTコレクションで、「Crypto Ninja Partners(CNP)」などの派生コレクションも展開しています。
CryptoNinja以外には、小学生が作ったことで知られている「Zombie Zoo」や、日本国内でさまざまな展開を見せている「VeryLongAnimals」といったコレクションが有名です。
このように、日本発のNFTでも大きな売上を出せるという実例があるため、日本でもNFTを展開できる根拠があるといえるでしょう。
多くの大手企業が参入している
NFTを知らない日本人は多いですが、国内で有名な企業はすでにNFT界隈に参入しています。
たとえば、楽天グループ社やLINE社はNFTを売買できるプラットフォームを開発しており、誰でもNFT取引ができる環境を作りつつあります。
ほかにも、NTTドコモ社や東映アニメーション社、スクウェア・エニックス社、吉本興業 社など、あらゆるジャンルの大手がNFTコンテンツを提供しています。
多くのグローバル企業もNFTに取り組んでいるため、日本でNFT技術が用いられるようになるのも時間の問題かもしれません。
日本のコンテンツは海外でも人気がある
日本には世界的に人気のあるアニメやマンガが多く、NFTにすれば売れる可能性が高いコンテンツで溢れています。
実際に、「鉄腕アトム」や「北斗の拳」、「ワンピース」などのマンガを題材にしたNFTアートが発行され、それぞれが大きく利益をあげました。
また、「キャプテン翼」のようにNFTゲームがリリースされた作品もあります。
電子書籍化されたマンガをNFTにすることも可能なので、いずれはNFTのマンガが普及する世の中になる可能性も考えられるでしょう。
税制改正が進められている
法整備の不十分さは前述した通りですが、暗号資産やNFTに関する法律を改正する動きがすでに始まっています。
2022年12月に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」によると、法人が所有する暗号資産への課税が緩和されるようです。
こうした改正がおこなわれる背景としては、日本政府の方針にWeb3推進が組み込まれたことが挙げられます。
日本がWeb3を推進すると決めたからには、一般的なユーザーが仮想通貨やNFTを扱いやすくなるよう法整備が進められることを期待できるでしょう。
(参考)CoinCheck|【2023年度税制改正】暗号資産の税制はどう変わる?3つのポイントをわかりやすく解説!
まとめ:NFTが日本で流行る可能性は十分ある!
現状を見ると日本でのNFT普及率が低いため、将来性に不安を感じるかもしれません。
しかし、本記事で解説したように、NFTには流行る可能性があると言えるだけの根拠が十分にあります。
可能性を信じられるのであれば、NFTを利用する取り組みを始めてみるとよいでしょう。
まだ普及していない今からNFTに触れ、先行者となって、大きな成果を目指してみてください。