NFTを購入したり販売したりするとき、NFT分析をおこなってプロジェクトについて知ることが重要です。
しかし、何を使ってどのように分析すればいいのか分からないという方も多いでしょう。
この記事では、無料でプロジェクトや大手取引者の動きを分析できるプラットフォーム「NFTGo」の機能や使い方を解説します。
この記事をザックリ要約!
✅NFTGoを利用すればイーサリアムのマーケットデータを集めて分析できる
✅マーケット分析や大手取引者の追跡といった機能がある
✅購入者向けのドロップリスト機能や、開発者向けのデータAPIなども提供している
分析で見るべきポイントにも触れているので、NFTGoを使ったデータ分析に興味がある方は本記事を読んでみてください。
NFTGoとは?
(NFTGo)
NFTGoは、イーサリアムのNFTに関する統計データを分析できるデータ集約プラットフォームです。
OpenSeaをはじめとした複数のマーケットプレイスからデータが集まっており、以下のような機能が用意されています。
・マーケット分析
・大手取引者の追跡
・ポートフォリオの確認
これらの機能を利用することで、NFTの購入者と販売者、どちらにとっても有益なデータを取得できます。
言語設定を変更すれば、日本語で表示することも可能です。
分析以外の機能も利用できる
データの閲覧だけではなく、各種ツールの利用やNFTの購入も、NFTGoでおこなえます。
NFTGoは、NFTの発見や選別、購入をシームレスにできるようにするビジョンを持っており、そのための機能を充実させている段階にあります。
2022年8月現在はNFTを取り扱っているマーケットプレイスに移動して購入する形ですが、NFTGo内でまとめて購入できる機能を近日実装する予定です。
信頼性のあるコレクションを表示している
NFTGoに上場するには一定の審査基準をクリアする必要があり、条件を満たさないコレクションは表示されません。
上場するための審査基準は以下のとおりです。
・Etherscanでスマートコントラクトを公開している(オープンソース)
・流通市場での取引量が100ETH以上
・データ偽造やスパムといった悪意がない(発見し次第、上場停止)
上記の条件を満たしているNFTGoのコレクションリストは安心だといえるでしょう。
ただし、NFTはどのように価格が変動するかわからないので、信頼できるコレクションだとしても調査や分析は必須です。
将来的にはイーサリアム以外も対応予定
現状はイーサリアムのみ対応しているNFTGoですが、ほかの主要なブロックチェーンにも展開するよう働きかけているようです。
どのブロックチェーンに展開するか具体的に公開されていませんが、OpenSeaも対応しているポリゴンやソラナなどが対応する可能性は高いでしょう。
対応するブロックチェーンが増えれば、NFTGoの有用性はますます高まると考えられます。
マーケットプレイス分析の概要
マーケットプレイス分析の機能は、メニューの「マーケット分析」から利用できます。
マーケット分析のページは以下のようにタブ分けされており、タブを選択することで切り替えられます。
タブ名 | 表示できるデータ内容 |
マーケット概要 | NFT市場全体のデータや指標 |
トップ コレクション | 取引に関するコレクションのランキング |
トップミント | ミント(生成)に関するコレクションのランキング |
最新NFT | NFTGoに登録されてから7日以内のコレクションのランキング |
トップ セールス | 販売額に関するNFT単体のランキング |
リーダーボード | NFT取引による利益に関するアドレスごとのランキング |
マーケットプレイス | マーケットプレイスごとの取引データ |
トップコレクション、トップミント、最新NFTの3つは表示する項目が異なりますが、どれもコレクションのランキングです。
これら3つはコレクションランキングとしてまとめたうえで、それぞれのタブについて解説します。
マーケット概要
マーケット概要のタブでは、下記のデータを閲覧できます。
・バロメーター
・ブルーチップ指数
・時価総額とボリューム
・ホルダー数とトレーダー数
・カテゴリ別時価総額
・コレクションの配布
・トップコレクション
マーケット全体における売上の推移やスコア評価などを確認できるので、NFTの現状をおおまかに把握するのに役立つでしょう。
バロメーター内の「NFT市場センチメント」に表示されている数値の大小を見るだけでも、NFT市場の盛り上がり具合や、取引の活発さがわかります。
コレクションランキング
コレクションのランキングを表示しているタブでは、リストの項目をクリックすることで並び順を変えることができます。
たとえば、トップコレクションのタブでは「ボリューム(売上)」の大きい順に並んでいますが、売上の小さい順にしたり、最低価格の順に並べ替えたりすることが可能です。
対象となる期間をプルダウンメニューで切り替えることもできるので、閲覧したいランキングになるようカスタマイズしてみてください。
気になるコレクションを見つけたら、コレクション名の部分をクリックすることで詳細画面を開けます。
詳細画面では、チャート図や取引履歴などの詳細な情報を閲覧できるので、これらのデータからコレクションを分析してみましょう。
ただし、トップミントのタブにはNFTGoに登録されていないコレクションが表示される場合があります。
そういったコレクションを選択しても詳細画面は開けず、Etherscanのページに移動します。
トップセールス
選択した期間内で販売額が高い順NFTのランキングが表示されます。
気になるNFTがあればNFT名を、コレクション全体が気になるときはコレクションのアイコン画像を、それぞれクリックして詳細画面を閲覧しましょう。
ここで注意したいのは、ウォッシュトレードによってデータが操作されている可能性がある点です。
具体的なウォッシュトレードの例としては、同じユーザーの異なるウォレット間で取引していることが考えられます。
ウォッシュトレードの可能性があるNFTをリストから除外したい場合は、リストの上にあるスイッチを切り替えてください。
リーダーボード
マーケットプレイスでの取引時に発生した損益額に関する、アドレスごとのランキングを見ることができます。
閲覧できるランキングは下記の3種類です。
・利益リーダーボード(損益の合計額)
・トップバイヤー(購入額)
・トップセラー(販売額)
損益リーダーボードに表示されるのは個人のウォレットアドレスですが、右上にあるスイッチを切り替えることでコントラクトアドレスも表示させることができます。
気になるアドレスを選択し、そのアドレスが保有しているNFTや取引履歴を確認してみましょう。
ちなみに、過去6ヶ月以内に取引していないアドレスは表示されません。
マーケットプレイス
マーケットプレイスごとの取引規模やトレーダー数、売上額を比較できます。
ウォッシュトレードも含めた状態で表示されており、スイッチを切り替えればウォッシュトレードを除外することも可能です。
ウォッシュトレードの有無でデータは大きく変わるため、両方のパターンを確認しておくとよいでしょう。
大手取引者を追跡する方法
クジラと呼ばれる大手取引者の取引内容に注目している人は多く、NFTのトレンド(流行)を生み出す一因となっています。
そういった大手取引者の動きを知るには、メニューの「大手取引者」を選択しましょう。
大手取引者の追跡画面で選択できるタブは、下記の4つです。
タブ名 | 表示できるデータ内容 |
取引 | 取引をおこなった大手取引者および取引されたコレクション、NFT |
ミント | ミントをおこなった大手取引者およびミントしたコレクション |
活動 | 大手取引者全体の統計データと活動履歴 |
リスト | 大手取引者の一覧リスト |
取引タブやミントタブでは、指定した期間内に大手取引者が手に入れたコレクションやNFTを調べることができます。
どういったコレクションが大手取引者の関心を引いているかチェックしてみてください。
大手取引者のアドレスを軸に分析したいときは、活動タブやリストタブで気になるアドレスを探すとよいでしょう。
表示されているアドレスをクリックすれば、そのアドレスの詳細な情報を調べられます。
大手取引者の基準
大手取引者として認定される条件は、NFT保有価値が100万ドル以上であることです。
NFTGoの表記によると、2022年8月18日時点でこの条件に当てはまるアドレスは1454個でした。
大手取引者のアドレスの横にはクジラのアイコンが付いているので、アイコンの有無を確認すれば大手取引者かどうか判断できます。
なお、文書のアイコンが付いているアドレスはコントラクトアドレスであり、個人のウォレットアドレスではないので注意してください。
ブルーチップホルダーとは
NFTGoでは、ブルーチップを保有しているアドレスはブルーチップホルダーと呼ばれます。
ブルーチップとは、長期的に価値を維持する見込みのある、認知度が高いコレクションです。
ユーザーからのフィードバックや市場の状況などをもとにブルーチップは定期的に更新されており、2022年8月時点では以下のコレクションが認められています。
上記のコレクションのいずれかを保有していればブルーチップホルダーとして認められ、アドレスの側に青い雷のようなアイコンが表示されるようになります。
さらに、保有しているブルーチップの最安値×ブルーチップ保有数 が200ETHを超える場合はスーパーブルーチップホルダーとなり、黄色い雷のようなアイコンに変わります。
ブルーチップホルダーやスーパーブルーチップホルダーは、高額なNFTを保有できる資金力と戦略があると考えられるでしょう。
追跡する大手取引者を選ぶ際は、ブルーチップホルダーであるかどうかを重視するとよいかもしれません。
ウォレットを接続して利用する機能
NFTGoを利用する際、マーケット分析や大手取引者の追跡をするためにウォレットを接続する必要はありません。
しかし、ウォレットを接続することで利用できる機能として、以下の2つが挙げられます。
・ポートフォリオの確認
・ウォッチリストの保存・閲覧
どちらの機能も、コレクションのデータ分析を継続しておこなうときに便利です。
右上のボタンからウォレットを接続し、顔のアイコンから利用してみましょう。
ポートフォリオの確認
NFTGoでは、自分のポートフォリオをプロフィールとして確認することができます。
ポートフォリオの画面は、マーケット分析のリーダーボードやクジラ追跡などでアドレスをクリックしたときに閲覧できる画面と同様の内容です。
保有しているNFTのリストや損益の推移、活動履歴などが記載されているので、NFT取引における自分の現状を知り、分析するのに役立つでしょう。
取引した相手のアドレスを確認することもできるため、取引相手について調べたいときにも利用できます。
ウォッチリストの保存・閲覧
長期的にデータを観測したいコレクションやアドレス、NFTがあるときは、ウォッチリストに保存するとよいでしょう。
保存したものはウォッチリストで一括して表示されるため、それぞれのページを移動する手間が省けます。
ウォッチリストに保存したいときは、詳細画面の星マークをクリックするだけでOKです。
すでにウォッチリストに保存しているコレクションやアドレスがある場合は、ウォッチリスト画面の「ウォッチリスト管理」ボタンから新たに追加することもできます。
その他の機能
ここまで分析に利用できる機能を紹介してきましたが、分析以外の機能もNFTGoで利用できます。
ここで挙げる機能は、次の3つです。
・研究資料の閲覧
・ドロップリスト
・NFTの購入
以下でそれぞれの機能を解説するので、分析機能とあわせて利用してみてください。
研究資料の閲覧
メニューの「研究資料」から、NFTGoが著作権をもつ研究資料を閲覧できます。
研究資料と銘打っていますが、要はブログと考えても問題ないでしょう。
書かれている内容はさまざまで、NFTの購入方法のような初心者向けのものから、NFTGoのデータをもとにした本格的な分析レポートまであります。
自分で分析する方法を学ぶことにも繋がるので、資料には一度目を通しておくのがおすすめです。
すべて英語で記述されているため、読めない場合はブラウザの翻訳機能などを利用してください。
ドロップリスト
メニューの「ドロップリスト」を選択すると、最新のNFTをミントできるプロジェクトの一覧が表示されます。
それぞれのプロジェクトにはミント価格や期限などが書かれており「ミント」ボタンを押せばミントができるサイトに移動します。
自分でミントページを作る際の参考にもなるので、色々なプロジェクトを覗いてみるとよいでしょう。
ただし、ドロップリストに記載されているプロジェクトは絶対に安全とは言い切れないため、ミントを実行するときは慎重に検討するべきです。
NFTの購入
NFT単品の詳細画面にある「今すぐ買う」および「提案する」ボタンから、そのNFTを購入またはオファーすることができます。
購入する際はマーケットプレイスのページに移動するため、移動先でウォレットを接続して取引をしてください。
将来的には、NFTGo内でNFTを購入できるアグリゲーター機能が実装される予定です。
NFTGoが提供するツール
NFTGoのサイト上で利用できる機能とは別に、外部で使用するためのツールが提供されています。
提供されているツールが必要であれば、メニューの「プロダクト」から導入してください。
「プロダクト」選択時に表示されるツールは下記の3つです。
・データAPI
・Discordボット
・価格予測器
それぞれの機能の概要と使い方を解説していきますが、価格予測器は執筆時点で公開されていないため割愛します。
データAPI
自作しているアプリなどでNFTGoのデータを取得したいときには、データAPIを利用できます。
APIを利用すれば、NFTGoで閲覧できる多様なデータを受け取ることが可能です。
APIにデータをリクエストするには、リクエストごとに記載する必要のあるAPIキーを取得しなければなりません。
データAPIのページでキー取得の申請をおこない、キーとなる文字列を入手してください。
APIは多くのプログラム言語に対応しており、APIドキュメントには19種類のコード記述例が記載されています。
ベータ運用中のため、1秒あたり4リクエストまでという制限がある点に注意してください。
(参考)NFTGo|APIドキュメント
Discordボット
自分のDiscordサーバーにNFTGoが提供するボットを導入すれば、NFTGoのデータをチェックしたり、アラートを出してくれたりするチャンネルを作成できます。
たとえば、コレクションの時価総額や最低価格を確認したり、大手取引者が取引をしたときにアラートを受け取ったりすることが可能です。
Discordで自分のアカウントを作成し、Discordボットのページに書かれている手順に従ってボットを追加しましょう。
もしくは、こちらのリンクからボットを追加できます。
どう利用すればよいか?
多彩な機能をもち、さまざまなデータを取得できるNFTGoですが、どのように利用すればいいのかわからないと感じる方もいるでしょう。
NFTGoの使い方がよくわからない方向けに、利用方法の指標をまとめてみました。
下記から自分の当てはまるタイプを選び、どのように使うか考えるときの参考にしてみてください。
初心者は参加市場を決めるところから
NFTについて知ったばかりで何をすればいいかわからない場合は、自分がどの市場に参入するかを先に考えましょう。
・購入者か、販売者か
・一次市場で購入(ミント)するか、二次市場で取引するか
・ブルーチップを保有するか、新規プロジェクトを狙うか
立場や資金などによって、NFTとの適切な接し方が決まってきます。
まずはデータよりもプロジェクトの内容を調べ、魅力を感じる市場を探すところから始めてみてください。
NFTの早期発見にはドロップリスト
NFTが高額になる前に安く手に入れたいと考えている場合は、ドロップリストをチェックしましょう。
いまやブルーチップとして数千万円以上の値段が付いているCryptoPunksも、はじめは無料配布されたものでした。
無料でミントできるプロジェクトであったとしても価格が高騰する可能性はあるため、ドロップリストで気になるプロジェクトを片っ端から調べてみてください。
調べる際に注目したいのは、プロジェクトの背景や参加メンバー、コミュニティです。
今後もプロジェクトが発展する見込みがあるか、信頼できるプロジェクトメンバーか、コミュニティが盛り上がっているか・・・
自分で調べてみて、参加する価値があると感じたらミントを検討するとよいでしょう。
二次取引を狙うならマーケット分析
すでにミントが終了しマーケットプレイスで販売されているコレクションを購入したい場合は、マーケット分析でコレクションの詳細を分析しましょう。
データをしっかりと分析すれば、これから価値がなくなっていくNFTを高額で買ってしまう失敗を避ける確率が高くなります。
下記のポイントに気をつけて、データの詳細を確認してみてください。
評価する項目 | 見るべきポイント |
市場実績 | ・時価総額や最低価格は上昇する傾向にあるか |
ホルダー | ・大手取引者が保有しているか・保有期間は長いか・保有量が分散しているか(=1人が多く抱えていないか) |
リスト | ・大手取引者や多くの保有者が出品していないか (出品が多いと、プロジェクトが見限られている可能性がある) |
ユーティリティ | ・保有する以外の使い道があるか |
なお、新規NFTと同様に、プロジェクトの背景やコミュニティの規模も重要です。
販売者はすべてのデータからトレンドを知る
NFTを販売するのであればマーケットや大手取引者を分析し、トレンドを把握する必要があるでしょう。
とくに大手取引者はNFTについて精通しているケースが多いため、その動向はトレンドに則っている確率が高いです。
大手取引者のミント・取引履歴をリアルタイムで確認し、関連するプロジェクトのデータを抑えましょう。
分析する際には、ウォッチリストやDiscordボットを利用すると効率的です。
まとめ:NFTGoの機能を使ってみよう
ウォッシュトレードを除外したり、ブルーチップ保有者を確認できたりする点から、NFTGoは信頼性の高いデータ分析をしやすいプラットフォームだといえます。
また、取引のアグリゲーターやマルチチェーン、価格予測器といった機能拡張も予定されているので、今後さらに使いやすくなるでしょう。
分析ツールを利用していないのであれば、多機能かつ無料で利用できるNFTGoから触れてみるのをおすすめします。
ポートフォリオ機能やウォッチリストも活かし、NFT活動で成功する精度を高めていきましょう。