OpenSeaでは、The Sandbox AssetsやMeebitsなどのボクセルアートも販売されています。
これらの作品を見て自分も作りたいと思っても、3D作品は作るのが難しそうだと感じているかもしれません。
しかし、じつは無料で簡単にボクセルアートを作り始めることが可能です。
この記事では、ボクセルアートを始めるために必要なツールや作る手順を解説します。
この記事をざっくり要約!
- ボクセルアート=ボクセルと呼ばれる最小の立方体を積み重ねて作成する3D作品のこと
- 3Dアートは、ライティング(光)を使った表現ができる!
- 使うツールに迷ったらMagical Voxelがおすすめ!
これからボクセルアートのNFTを作りたいと考えているのであれば、本記事を読んでみてください。
ボクセルアートとは
ボクセルと呼ばれる最小の立方体を積み重ねて作成する3D作品のことを、ボクセルアートといいます。
平面のイラストをドット単位で描画するピクセルアートの立体版と考えてよいでしょう。
曲面や斜面にボクセルの角が見られるギザギザ感は、ボクセルアートの特徴です。
ボクセルアート風のグラフィックが利用されているコンテンツとして、マインクラフトなどが挙げられます。
自由な発想で3D作品を作れる
独特な雰囲気・作風を生み出せるボクセルアートの手法は、様々な作品に取り入れられています。
たとえば、デフォルメ(簡略化)された3Dキャラクターのボクセルアートの作品は多いです。
また、風景の一部を切り取ったジオラマをボクセルアートで表現しているものもあります。
動かすことも可能
ほかの3Dモデルと同様に、ボクセルアートも動きを設定してアニメーションさせることが可能です。
使用するツールによっては、動きに必要なボーンの設定や、アニメーションの作成ができるものもあります。
躍動感のある動きをボクセルアートに設定できれば、作品をより魅力的に見せられるでしょう。
メタバースによる需要の増加
昨今ではメタバースが注目されるようになっており、その流れでボクセルアートの需要が高まっています。
動きが設定されたキャラクターは、メタバースで活動するアバターとして利用されます。
また、The Sandboxのようにゲーム全体がボクセルで形成されているメタバースでは、背景の小物やアイテムなどがボクセルアートで作られています。
今後も様々なメタバースが展開されていくと予想されるため、ボクセルアートを作れるようになれば、クリエイターとしての大きなアドバンテージを得られるかもしれません。
ボクセルアートのメリット・デメリット
ボクセル以外で作られた3Dモデルや、平面のドット絵と比較したときに考えられる、ボクセルアートのメリットとデメリットを解説します。
メリットとデメリットを把握したうえで、ボクセルアートとして作品を作るかどうかを考えてみてください。
ボクセルアートが自分に合わないと感じた場合は、ドット絵や3Dモデリングといった別の方法を模索していきましょう。
ちなみに、CryptoPunks風のドット絵の描き方をまとめた記事があるので、そちらに興味があればご一読ください。
想像力が働くことで良い印象を与えやすい
ボクセルアートは細かい部分まで描画できませんが、それがかえって想像力を働かせる余地となっています。
つまり、見る人によって足りない部分が補われ、良い印象になりやすいです。
そのため、細かいところまで再現されたリアルな3D作品より、ボクセルアートのほうが万人受けを期待できるかもしれません。
ライティングで変化を付けられる
3Dで表現されているボクセルアートは、平面のアートと違ってライティング(光)による変化を付けることができます。
光の方向や色を変えるだけでも、作品の印象は大きく変化します。
たとえば、白い光を高いところから照らせば昼の景色を、赤い光を低いところから照らせば夕暮れの景色を演出できます。
ライティングを覚えるのは大変ですが、自在に操れるようになれば関心を引きやすい魅力的なアート作品が作れるようになるでしょう。
時間と手間がかかりやすい
ボクセルアートの作成にかかる手間は膨大になりやすいというデメリットがあります。
たとえば、まっすぐな斜面を作る際、ポリゴンであれば1つの平面を置くだけで終わります。
これに対してボクセルアートでは、1つずつボクセルを置いていくしかありません。
ツールによっては手間を減らせる機能が付いている場合がありますが、基本的に根気のいる作業であることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。
パソコンに対応しているツール
ボクセルアートを作るために、まずはツールを用意します。
パソコンでボクセルアートを作成する場合は、以下の3つから選ぶとよいでしょう。
基本的にはMagica Voxelがおすすめですが、用途によっては別のツールが適している場合があります。
- Magica Voxel(定番ツール)
- VoxEdit(動きの付いたアバター作成などに)
- Blender(ボクセルアート以外の3D作成にも使える)
それぞれのツールの特徴を、以下で解説します。
Magica Voxel
多くの人に使われている、ボクセルアート用の人気ツールです。
無料で利用でき、範囲選択や一括配置などの便利な機能が揃っています。
作成した3Dデータは、voxやobjなど12種類の形式でエクスポート(出力)することが可能です。
使うツールに悩んだら、とりあえずMagica Voxelを使うといいでしょう。
最大サイズが256×256×256ボクセルとなっているため、それ以上のサイズで作成したい場合は別のツールを利用してください。
VoxEdit
メタバースゲームのThe Sandboxで利用するアバターなどを作成するための無料ツールとして提供されています。
ボクセルアートを作成するだけでなく、複数のボクセルアートを組み合わせて骨格を設定し、ゲーム内の動きをチェックすることも可能です。
また、上で紹介したMagica Voxelと同期させ、作成したデータを取り込むことができます。
The Sandboxのマーケットプレイスにエクスポートできる唯一のツールなので、The Sandbox関係のボクセルアートを作るのであれば必須となります。
3Dモデルを3Dデータとしてファイル出力する場合は、OBJ・DAE・GLTF・VOXの4形式で出力することが可能です。
Blender
ボクセルアート以外の3Dデータも作成できる、本格的な開発ツールです。
3D制作の現場で使用されているツールに引けを取らない機能を持っているのにもかかわらず、無料で利用できます。
ほかのツールと違ってボクセルを積みあげて制作するのは難しいですが、拡張機能であるvoxwriterを利用することで、通常の3D作品をボクセルアートに変えられます。
このときvox形式でエクスポートできるので、Blenderで作成したものをMagica Voxelなどで調整するという制作方法が考えられるでしょう。
ボクセルアート化する前の3Dデータを用意・作成する必要があるため、ボクセルアート以外の3D知識を持っている人向けといえるかもしれません。
スマートフォンに対応しているアプリ
パソコンがなくても、スマートフォンでボクセルアートを作成できます。
スマートフォンで使えるボクセルアート制作アプリとして、以下の3つを紹介します。
- Goxel(様々なプラットフォームで利用でき、多機能)
- Voxel Paint(シンプルで使いやすい)
- Voxel Editor 3D(Voxel Editorより大きめのサイズを作成可能)
有料のアプリも含まれているので、選ぶ際は価格にも注意しましょう。
Goxel
スマートフォンだけでなく、パソコンでも利用できるアプリです。
レイヤー機能やマテリアル設定など、充実した機能が利用できます。
出力できるファイル形式も豊富で、11種類の形式でエクスポートすることが可能です。
ただし、Androidでアプリをダウンロードするとき、またはiPhoneで作品をエクスポートするときに、600円ほどの課金が必要です。
パソコンで利用する場合は課金しなくても利用できます。
Voxel Paint
(公式ページ)
スッキリとした編集画面で直感的に操作が把握しやすい、初心者向けのアプリです。
機能的に物足りなく感じるものの、制作に必要な最低限の機能はあり、無料で利用できます。
vox形式のファイルを取り込んだり、obj形式でデータをエクスポートしたりすることも可能です。
描画できる範囲が16×16×250ボクセルなので、大きなボクセルアートを作るのには向いていません。
Voxel Editor 3D(Poxel 3D)
Voxel Paintと比べて大きなサイズ(256×256×256)のボクセルアートを作成できるアプリです。
画像撮影や色抽出などの機能があり、obj形式でエクスポートすることができます。
ボクセルの追加や色付けは1個ずつしかできないため、使っていくうちに不便に感じるかもしれません。
また、Androidでは無料でダウンロードできますが、iPhoneでは名前の異なる同様のアプリが860円で販売されているので注意してください。
ボクセルアートの作り方
(Fun Voxel|サンプル作品)
ボクセルアートを作るツール・アプリを手に入れたら、以下の手順で作成していきましょう。
- 作品の全体像を決める
- ボクセルを配置して形を作る
- 色を変更・調整する
- (必要であれば)レンダリングなどの設定をする
この手順を守らなければ作成中に方向性が定まらず、途中で諦めてしまう確率が高くなります。
行き当たりばったりで作らずに、最初に決めた形を作ってから細かいところを修正するように心がけてください。
全体像を決める
ツールを使う前に、完成時のイメージを紙などに書き出しましょう。
1ボクセル単位で決める必要はありませんが、作成途中で困ったときに見れば次にするべきことがわかるよう具体的に書くと、途中の作業が楽になります。
正面、横、上の3方向から見た形を書きあらわした三面図を作るのがおすすめです。
ボクセルを配置していく
全体像がしっかりとイメージできたら、その形に沿ってボクセルを配置していきます。
このとき、色は仮置きでも構いません。
境目がわかる程度に色を使い分けながら、形だけ完成させることを目指しましょう。
ただし、配置済みのボクセルの色を変更できないツールを使用する場合は、配置する段階で色を決めておいたほうが効率よく作成できるでしょう。
色を調整する
全体のバランスを踏まえつつ、最終的な色を決めていきます。
三面図を作成する時点で色を決める手もありますが、実際にボクセルアートの形にしてみると印象が変わる可能性があります。
色を塗り替える機能を使ってボクセルの色を微調整し、イメージに合った最終的な色を決めてください。
納得のいく色と形になったら、あなたの作品の完成です。
各種設定をする
利用しているツール・アプリにレンダリングやライティングを設定できる機能がある場合は、ボクセルアートの質感や光の向きを設定することができます。
これらの設定をうまく調整できれば臨場感が増し、作品の魅力を伝えやすくなるでしょう。
ただし、これらの設定はアプリ内のみ有効な場合があり、エクスポートするファイルの中に含まれないことも。
基本的に、サムネイルなどに使う画像を撮影するための設定だと考えておくとよいかもしれません。
OpenSeaでNFTにする手順
完成したボクセルアートをNFTにするには、作成したデータをエクスポートし、NFTアートとして作成する必要があります。
作業内容は簡単なので、慣れてしまえば数分程度で終わらせることができるでしょう。
いくつか注意点を挙げながら、OpenSeaでボクセルアートをNFTにする手順を解説していきます。
glbまたはgltf形式で出力する
OpenSeaでNFTにできる3Dデータの形式は、glbまたはgltf形式のみです。
どちらかのファイル形式でボクセルアートをエクスポートしてください。
なお、OpenSea以外のプラットフォームを利用する場合は、別のファイル形式にする必要があるでしょう。
対応しているファイル形式を先に確認してからエクスポートするようにしましょう。
直接エクスポートできない場合は変換する
利用しているツールがglbまたはgltf形式のエクスポートに対応していないときは、別のツールを利用してファイルを変換しましょう。
たとえば、Magica Voxelで作成したボクセルアートは、以下の方法でgltf形式に変換できます。
- Magica Voxelを使い、obj形式でエクスポート
- Blenderを使い、エクスポートしたファイルを読み込み
- 読み込んだデータを、gltf形式でエクスポート
スマートフォンの場合は、Goxelなどを用いることで、gltf形式でのエクスポートが可能です。
有料アプリを使わないために、スマートフォンからパソコンにデータを移動させる方法も考えられます。
プレビュー画像を用意する
OpenSeaで3DデータをNFTにする際は、プレビュー画像も用意する必要があります。
プレビュー画像はNFTの一覧画面で表示されます。
ボクセルアートの見栄えがよくなるようにスクリーンショットを撮り、画像ファイルとして保存するとよいでしょう。
ボクセルアートの写真にこだわらず、イメージ図など関連する画像を使うのも1つの手です。
OpenSeaでアイテムを作成する
ファイルをエクスポートできたら、OpenSeaにアクセスしてアイテムを作成します。
「Image, Video, Audio, or 3D Model」の項目に3Dデータファイルを、「Preview Image」の項目にプレビュー画像を、それぞれ選択してください。
その他の入力項目を埋めたうえでアイテムを作成すれば、ボクセルアートのNFTが完成します。
OpenSeaの使い方やNFTを作成する方法の詳細は、こちらの記事の解説を読むとわかりやすいでしょう。
画像データだけで作成するのもアリ
ボクセルアートを作成したからといって、3D作品のNFTを作らなければいけないわけではありません。
プレビュー画像を作るときと同様に画像ファイルを作成し、画像アイテムのNFTを作ることも考えられるでしょう。
この場合は、ライティングやレンダリングなどをフル活用して、最高の一枚を作りあげてください。
この手法であれば、1つのモデルから複数のNFTアートを生み出すことも可能です。
まとめ:好きなツールでボクセルアートを作ってみよう
ボクセルアートは無料で作り始めることができるうえに、これから需要が高まっていくと予想されます。
3D作品を作るのに興味があれば、ぜひボクセルアートに触れてみてください。
本記事で紹介したツールを使い、イメージを形にするところから始めてみましょう。