NFTが教育に与える影響は、Web3.0時代の学生にとって大きな変革になります。
ブロックチェーン技術を土台とするNFTには、これからの学生の新たな収益機会が多く存在しているからです。
この記事では、9つのNFT×教育の事例を中心に紹介します。
この記事をザックリ要約!
✅学生の学びの履歴やこれまでの成果をNFTで世界中にアピールできる
✅NFTは学生の選択肢や可能性を広げ、収益機会を増やす
✅NFTを教育カリキュラムに導入する事例が増えている
NFTが教育に与える影響についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
NFTやブロックチェーン技術が教育分野に与える影響
NFTやブロックチェーン技術が教育分野に及ぼす影響は2つあります。
学習過程や学歴を改ざんなく管理・証明できる
ブロックチェーン技術を導入することにより、これまでの学習過程や学歴を改ざんや不正なく、管理や証明ができます。
高いセキュリティのもと、デジタル上で情報をみれるようになるので、学生の入学や卒業、転校などの個人情報の管理や保存、移動が容易になります。
個人情報の混在や第三者による改ざんや悪用を防ぐことができるので、学歴や経歴詐称などのトラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。
また、生徒一人一人のこれまでの学習履歴(成績、テストの点数、宿題の進捗、面談内容など)が不正なく、網羅的に管理できる可能性があります。
政府などにみられる中央集権はなく、暗号化されたデータをブロックに格納できるからです。
さらにWeb3の普及により、大きな変革を迎えるといわれている就職活動にも好影響を及ぼすでしょう。
大学の卒業証明書をNFTで発行することにより、これまでの学修履歴や成果、活動を世界中にアピールすることも可能になります。
実際に学修歴証明書をNFTで発行している大学もあるので、後ほど紹介します。
Web3時代の子どもや学生の可能性が広がる
NFTやブロックチェーン技術の導入により、学生たちの可能性や選択肢が広がり、学校教育にも好影響を与えるでしょう。
なぜならNFTではアートやイラスト、動画や画像など様々なモノに価値がつき、収益機会が増えるからです。
実際に、学生がNFTで成功した事例を2つ紹介します。
1つ目は、インドネシア人大学生の5年間分の自撮り写真NFTです。
ただの自撮り写真がなんと合計1億円以上で取引されています。
インドネシアの有名シェフやスニーカー&ストリートウェアの起業家による購入で注目され、価値がついたのがきっかけです。
このようにごく普通の大学生が成功する可能性を秘めているのがNFTです。
2つ目は、小学3年生の男の子が夏休みの自由研究で書いたピクセルアートです。
イラストレーターや有名DJインフルエンサーによる購入で注目され、最高で約80万円で落札されたとのこと。
夏休みの間に小さなことがきっかけで、人生が変わる可能性もあります。
何が起きるかわからないのがNFT。
ひょんなことがきっかけで、ビジネスが生まれたり、お金を稼げる可能性や幅を増やしてくれるNFTは、教育分野において好影響を与えるでしょう。
教育分野におけるNFTの活用事例
ここからは、教育分野におけるNFTの実際の事例を大きく2つに分けて紹介します。
・NFTによる卒業/学修歴証明書の発行
・各学校の取り組み
NFTによる卒業/学修歴証明書の発行
「Table Unstable-落合陽一サマースクール」
電通グループ、シビラ、ソニーは、個人の学びや活動実績をデジタル化し、クレデンシャル管理の実証実験を共同で行いました。
実証実験では、メディアアーティストの落合陽一による「Table Unstable – 落合陽一サマースクール2022(山口編)」を受講した卒業証明書をNFTで発行するものでした。
参加者は認証用のスマホを起動し、中にあるICカードをかざすことで受講実績を証明できます。
実証実験の狙いとは教育のエコシステムの形成です。
これまでは試験や授業の態度などによる一律評価でした。
しかし、ブロックチェーン上にこれまでの学びの履歴を残すことで、子どもの個性を様々な角度から評価できると考えています。
オンライン学習サービス「PoL」
株式会社techtecが提供する「PoL(ポル)」は、仮想通貨やブロックチェーンを学べるオンライン学習サービスです。
学びを進めるたびに、トークンや受講者限定NFTを配布するなど、Web3の要素を取り入れて運営しています。
そんなWeb3を学べるプラットフォームPoLでは、入会権をNFT化する取り組みを行っています。
受講時に必要な入会金を、「固定価格で支払える権利」としてもっておくことで、将来的に入会金が高くなっても、当時買った時の価格で入会することが可能になります。
また、カリキュラムを学習したことを証明する修了証を、NFTとして発行する取り組みも開始しました。
NFTは誰からも改ざんされずに、取引や売買がネット上に記録されます。
ですので、第三者の証明が必要なく、「個人が何を学んだか」を証明することができます。
千葉工業大学
千葉工業大学は、株式会社PitaPaと共同で、国内初となるNFTによる学修歴証明書を発行しました。
学修歴証明書をNFTで発行することで、改ざんや譲渡を防ぎ、これまでの学びの履歴や成果を世界中にアピールすることが可能になります。
仮想通貨のウォレットで証明データを管理でき、様々なプラットフォームに接続することができるからです。
Web3時代は、国内だけでは収まらない活躍ができたり、優秀な人材の動きが流動的になるなど、就職活動も大きな変革を迎えるといわれています。
取引や記録の改ざんができないブロックチェーン技術を活かした、学修歴証明書のNFTによる発行は、卒業後の幅広いキャリア形成の後押しにも繋がります。
今後、こういった取り組みが普及すると日本にも本格的にWeb3.0の時代がやってくるかもしれません。
各学校の取り組み
OCA大阪デザイン&テクノロジー専門学校
OCA大阪デザイン&テクノロジー専門学校は、2023年4月より専門学校では日本で初となる、全専攻にNFTカリキュラムの導入を開始します。
NFTの技術を身につけることで、卒業後に学生が「好き」を「仕事」にして、収益機会を増やすことが可能になります。
開校以来、デザインやテクノロジーをはじめ、e-sportやメタバースに取り組んできたOCAだからこそ、NFTの価値を活かした教育カリキュラムを提供できるとのことです。
特別顧問として、VRアーティストのせきぐちあいみさんが就任されました。
2021年には自身のNFTアート作品が1,300万円で落札されるなど、NFTアートの制作にも力を入れているアーティストです。
専門学校によるNFT技術を学ぶ取り組みは、学生たちの潜在能力を引き出し、収益機会を創り出す可能性が大いにあります。
専門学校日本デザイナー学院
専門学校日本デザイナー学院は、ウェブトゥーンやNFTの制作や開発を事業とする株式会社エヌ・エフ・トゥーンと業務提携しました。
ウェブトゥーン:
韓国発のデジタルマンガの一種。スマホ閲覧に適した手長形式とフルカラーであることが特徴。
現代におけるマンガ業界で、シェアを拡大し続けているウェブトゥーン産業への最新カリキュラムの開発、学生の就職機会やNFTアートの収益機会の創出が目的です。
この事業により、マンガ家がおこなってきたストーリー作成と作画を分業する制作スタイルをカリキュラムに加えることで、学生の可能性を広げることができます。
可能性や選択肢を増やすことは、学生の収益機会の拡大や、コミッククリエイターとして活躍の幅が広がるかもしれません。
京都芸術デザイン専門学校
京都芸術デザイン専門学校は、NFTプロジェクト「FlowerLolita」を運営するN3と提携し、NFT制作、販売、販売額の寄付を行うプロジェクトを開始しました。
本事業をカリキュラムとして導入し、NFTの特別講義の受講や、コンテンツ作成から販売までの経験を積むことができるプログラムになっています。
FlowerLolitaは、プロサッカー選手の本田圭佑氏と、現代アートを世界へ広げる事業を行うATUS氏の2人がファウンダーを務めるプロジェクトです。
2022年6月には、発売された6,666体が完売するなど、人気のプロジェクトになっています。
現代アート×NFTとしてのキャラクターをコミュニティで育て、現代アーティストに新たな市場を拡大することを目指しています。
2022年10月には合同展示会が開催され、学生がFlowerLolitaの二次創作を作成し、販売を行いました。
NFT化した作品は初日で完売するなど、立派な成功を収めました。
在学中から現場に立ち、販売経験ができるプロジェクトは、学生たちの活躍の幅を広げてくれるでしょう。
東洋美術専門学校
東洋美術専門学校は、NFTインフラサービス「Hokusai API」を提供する日本モノバンドル株式会社と連携し、「NFT講座」を開設しました。
学生に対し、NFTに関するあらゆる観点からの理解と知識の定着が目的です。
NFTに関する授業や、Hokusai APIを使用してNFTをミントする行程が体験できるなど、NFT領域で活躍する人材を育てる取り組みをしていくとのことです。
NFTに関する知識を学べる環境を作ることで、イラストレーターとしての新たな可能性を広げることもできるでしょう。
静岡デザイン学校(2023年5月31日追記)
静岡デザイン学校は、“猫のように生きる”がコンセプトのNFTプロジェクト「Live Like A Cat」と協業すると発表しました。
授業の開催期間は2023年5月22日(月)~7月10日(月)まで。
一人ひとりに合った生き方を見つける機会を提供するために、NFTの基礎から実践まで学べる授業を開講。
授業には国内のNFTマーケットを牽引するマーケターのイケハヤ氏やLLAC代表のしゅうへい氏、クリエイター、プログラマーが登壇予定。
NFTの基礎や歴史といった知識だけでなく、NFTを作成して出品するまでの実践的なスキルも学べるプログラムをおこなっていく。
LLACは「猫のように生きる」をコンセプトとした、国産ジェネラティブNFTプロジェクトです。
2023年5月17日時点で総取引高1,700ETH(約4億7千万円)を突破。
公式オンラインショップ「またたび屋」やリアルでのNFTアート展、コワーキング事業の始動など「NFTとリアルをつなぐ架け橋になる」を目標に様々な領域で事業を拡大しています。
また、2023年7月8日(土)から静岡県内のコワーキングスペース「=oden」でLLAC NFTアート展開催されます。
LLAC NFTアート展では、授業で制作した学生のNFT作品も展示予定。
これらの取り組みにより、静岡デザイン専門学校が大切にする「経験から学ぶ」機会が実践できるでしょう。
総合学園ヒューマンアカデミー(2023年5月31日追記)
ヒューマンアカデミー株式会社は、Digital Entertainment Asset Pte.Ltd.とA.W株式会社の3社合同でGameFi教育プロジェクトを発足。
国内初の試みとなる学生に特化したゲーミングギルド「Academy Guild Games」を設立しました。
暗号資産に慣れていない日本の若者に対して、その可能性や危険性など正しい知識を身に付けながらWeb3.0について正しく楽しく学べる機会を提供。
また、ゲームプレイ実績に応じて報酬も提供。「Play to Earn」が日本の学生への経済支援対策になるかも検証していくとのこと。
プロジェクトに参加する総合学園ヒューマンアカデミーの学生を「スカラーシップ生」といい、
Academy Guild GamesではNFTを学生に貸し出すので、無料でNFTゲームを開始できます。
学生はDEA社が運営するNFTゲーム「JobTribes」をプレイします。
楽しみながら正しい知識を学ぶことでことで、Web3領域での学生の可能性が広がるでしょう。
まとめ
NFTが教育分野に与える影響は、Web3時代の学生の未来に大きく関わる重要な項目です。
学生がこれまでの学びの履歴や、成果を世界中へアピールできるだけでなく、卒業後の選択肢や可能性を広げ、収益機会を増やしてくれるからです。
NFTをカリキュラムに導入したり、実際に学べる場所を作るなど、各学校の取り組みも積極的になっています。
今後のNFTが教育分野に与える影響にも注目してみるとよいでしょう。