NFTは海外での取引が主流なので、コミュニティでのやり取りやNFTの紹介には英語が使われることがほとんどです。
NFTについて深く知る前に、言語の壁によって挫折してしまったという人も多いでしょう。
そういった方におすすめしたいブロックチェーンが、日本で立ち上げられた「Astar Network(以下Astar)」です。
この記事では、Astarの概要や特徴、NFTプロジェクトについて解説します。
この記事のザックリ要約!
✅Astarはポルカドットのパラチェーンであり、多くのブロックチェーンとの相互性を持つ
✅マイクロソフト社やNTTドコモ社といった大手企業と提携している
✅EVMやWASMに対応しているため、他ブロックチェーンや他分野から参入しやすい
Astarを利用するのに必要な仮想通貨の買い方も解説しているので、Astarに興味のある方はぜひ本記事を読んでみてください。
Astarとは?
Astarは2022年1月にメインネットが立ち上げられたブロックチェーンです。
もとはPlasmという名前でしたが、2021年6月にリブランドしました。
日本企業のStake Technologies社が開発したため、日本発のブロックチェーンとして知られています。
メインネットの立ち上げと同時に独自トークンのASTRを発行しており、ガス代などの支払いにはASTRが必要です。
ポルカドットのパラチェーン
(Polkadot)
Astarはポルカドット(Polkadot)のパラチェーンの1つです。
ポルカドットは異なるブロックチェーン同士を接続する目的で開発されたネットワークで、ポルカドットに接続できるブロックチェーンのことをパラチェーンと呼びます。
100個に限られたパラチェーンはオークションによって決められており、Astarは第3回のオークションで枠を獲得しました。
これにより、Astarはポルカドットをとおして他のパラチェーンと接続することが可能となっています。
Shidenと繋がりがある
Astarの実験的なネットワーク(=カナリアネットワーク)として、2021年8月にShidenブロックチェーンが開発されました。
同じ開発者から生まれたAstarとShidenは、姉妹関係にあるといわれています。
また、Astarがポルカドットに接続しているのと同様に、Shidenはポルカドットの実験的ネットワークであるKusamaネットワークに繋がっています。
ただし、Kusamaの規模はポルカドットの10分の1であるため、ポルカドットと接続しているAstarのほうが成長する可能性は高いといえるでしょう。
マイクロソフト社と提携している
Astarはいくつもの大手企業と提携しており、そのうちの1つがマイクロソフト社です。
Astarとマイクロソフト社の提携は、2022年3月10日に発表されました。
Web3分野のスタートアップ企業を対象とした支援プログラム「Astar Incubation Program」の提供に取り組んでいます。
プログラムに選ばれた企業には、技術サポートを無料で提供したり、開発資金を援助したりしているようです。
なお、マイクロソフト社以外の企業としては、スマートフォン事業のNTTドコモ社や、代理広告店の博報堂社などが挙げられます。
Astarの特徴
(Medium|Astar v2.0の発表:Multi-chain dApp Hub)
Astarのドキュメントには、Web3のビジョンを実現するために必要なことが3つ挙げられています。
・取引コスト(ガス代)を下げる
・ほかのブロックチェーンと摩擦なく相互運用や接続ができるようにする
・より優れたdApps(アプリ)を構築する
これらの問題を解決するために開発されたAstarがもつ特徴を3つ紹介します。
ポルカドットのスマートコントラクトハブ
Astarはポルカドットのパラチェーンであると同時に、ポルカドットのスマートコントラクトハブという一面も持っています。
ポルカドットのパラチェーンとして接続できるブロックチェーンは、substrateというフレームワークを利用して開発されたものに限られています。
そのため、substrateが使われていないイーサリアムやポリゴン、ソラナなどのブロックチェーンは、ポルカドットと直接的に接続できません。
substrateを利用していないブロックチェーンとも取引ができるAstarは、ポルカドットの仲介役として利用することが可能です。
EVMとWASMに対応
Astarには、EVM(Ethereum Virtual Machine)とWASM(Web Assembly)の両方が備わっています。
EVM とWASMは、どちらもプログラムを実行するための環境です。
EVMはSolidity言語で書かれたスマートコントラクトを、WASMはRUSTやJava、Cなどの言語で書かれたプログラムコードを、それぞれ実行できます。
開発に利用できるプログラム言語が幅広いため、アプリの移植や開発者の参入がしやすいブロックチェーンだといえるでしょう。
dAppステーキングが可能
AstarにはdAppステーキング機能が実装されています。
dAppステーキングは特定のdAppに対してステーキングすることができ、ステーキング報酬はステーキングをした人と開発者に分配されます。
dAppステーキングによってdAppの開発者を応援できるので、より優れたアプリの開発が期待できるでしょう。
なお、自分が開発したアプリをdAppステーキングの対象にするには、DappRadarにプロジェクトを掲載するなどの要件を満たす必要があります。
NFTコレクション紹介
2022年11月にAstarの売上ランキングで上位に入っているNFTコレクションを5つ紹介します。
・EREN THE SOUTHPAW - STREET ART
・AstarDegens
・AstarCats
・COSMIZE
・StarCards by StarSwap
漫画が元になっているNFTや、メタバースで利用するNFTなど、種類に幅があります。
将来的にメリットがあるユーティリティ性を備えているコレクションも多いので、気になるNFTをチェックしてみてください。
EREN THE SOUTHPAW - STREET ART
(tofuNFT|Night in Chelsea/チェルシーの夜)
2016年3月から原作版の、2017年10月からはリメイク版の連載を開始した漫画「左ききのエレン」内で登場するストリートアートを再現したNFTアートです。
NFTは2点のみ発行され、2022年4月にtofuNFTでオークション販売されました。
オークションは1ASTR(当時は約460円)から開始しましたが、1つは13万2300ASTR(約6096万円)で、もう1つは20万ASTR(9216万円)で落札されています。
また、オークション参加者には入札記念NFTが配布され、落札者には漫画に登場する権利が与えられました。
(参考)左ききのエレン NFT告知サイト
AstarDegens
2022年2月に1万点が発行された、腕を組んだゴリラのイラストが特徴のNFTコレクションです。
NFTはAstarDegensのコミュニティで投票に参加する際に必要となります。
投票によって展開するプロジェクトが決定され、公式ページでは10以上のロードマップが確認できます。
ロードマップによると、エアドロップやメタバース、ゲームなどを展開していくようです。
AstarCats
可愛らしい猫のイラストが描かれたNFTコレクションです。
2022年4月に7777点発行され、NFTに関する権利はすべて購入者が所有できます。
また、NFTを保有したりステーキングしたりすることで、これから展開される予定のNFTコレクションについて優先権が得られるようです。
新しいNFTコレクションにはDeFiやGameFiの要素が含まれるとのことなので、今後の成長が期待されます。
(参考)Astar Cats公式ページ
COSMIZE
(tofuNFT|COSMIZE | 1st COSMIZEN)
Astar初のメタバースプロジェクト「COSMIZE」のアクセスキーとなるNFTです。
NFTを保有していなくてもCOSMIZEに入れますが、ルームをカスタマイズしたりイベントに参加したりするのにNFTが必要となります。
また、NFTにはHydro、Solar、Fusionの3種類があり、種類によって作成できるルームの内装が変わるようです。
ちなみに、AstarDegensやAstar Catsなどの別NFTプロジェクトとCOSMIZEはコラボしており、ルーム内に飾れるNFTも登場しています。
(tofuNFT|COSMIZE x AstarDegens Desk)
(参考)COSMIZE 公式ページ
StarCards by StarSwap
Astarの分散型取引所(DEX)であるStarSwapが発行したNFTコレクションです。
NFTを保有すると、StarSwapで支払われた手数料などのプラットフォーム料金を受け取れるようになります。
2022年5月に1000点が発行されましたが、販売を開始してすぐに売り切れました。
今後1000点ずつ追加でNFTを発行し、最終的に3000点になる予定です。
対応しているNFTマーケットプレイス
2022年11月時点で、DappRadarに掲載されているNFTマーケットプレイスは下記の3つです。
・tofuNFT
・RARE GEMS
・UwU Market
ただし、Astarで主に利用されているのはtofuNFTで、ほかの2つではほとんど取引されていません。
AstarのNFTを購入したいのであれば、tofuNFTを利用するとよいでしょう。
tofuNFT
(tofuNFT)
28以上のブロックチェーンに対応しているNFTマーケットプレイスです。
対応しているNFTコレクションの数が多く、Astar上で最大の取引市場となっています。
また、tofuNFTも日本企業が立ち上げているため、日本発のAstarと相性がよいといえるでしょう。
もちろん日本語にも対応しているので、NFTマーケットプレイスを初めて利用する人でも安心です。
UwU Market
AstarとShidenに対応したNFTマーケットプレイスです。
UwU Marketの特徴として挙げられるのは、ローンチパッド(発射台)とNFTステーキングの2つ。
ローンチパッドでは立ち上げられたばかりのNFTを購入するチャンスがあり、NFTステーキングでは特定のNFTを預けて独自トークンを手に入れられます。
ベータ運用中なのでテスト段階ではありますが、Astarに参入するのであればチェックしておくとよいかもしれません。
RareGems
(RareGems)
Astarをはじめとした13のブロックチェーンのNFTを取引できるマーケットプレイスです。
Energy WebやVelasなど、tofuNFTが対応していないブロックチェーンのNFTを取り扱っているのが特徴です。
ただし、全体的に取り扱っているプロジェクト数が少ないため、購入したいNFTが見つからない可能性が高いでしょう。
ASTRの入手方法
Astarで取引するのに必要なASTRの入手方法を紹介します。
ASTRは仮想通貨取引所で取引されていますが、国内の取引所ではbitbankのみASTRを取り扱っています。
国内の取引所であれば日本円をスムーズに入金できるので、仮想通貨の取引に慣れていないのであればbitbankを利用するのがおすすめです。
ASTRをウォレットに入れるまでの以下の流れを、順に説明していきます。
1. bitbankで口座を開設する
2. bitbankでASTRを購入する
3. polkadot{.js} extensionとMetaMaskをインストールする
4. polkadot{.js} extensionにASTRを送金する
5. Astar Portalにpolkadot{.js}を接続する
6. MetaMaskにASTRを送金する
1. bitbankで口座を開設する
まずはbitbankで口座を開設します。
口座開設を申請してから利用できるようになるまで最短1日かかるので、お金を用意する前に手続きを済ませておきましょう。
口座開設の申請は、トップページの右上にある「口座開設」からおこないます。
画面に従って必要事項を入力して申請を完了させてください。
2. ASTRを購入する
口座が利用できるようになったら、日本円を入金してASTRを購入します。
メニューの「販売所」もしくは「取引所」から仮想通貨を購入してください。
販売所のほうが簡単に購入できますが、ASTRの価格が割高になっています。
なるべく節約したいのであれば、取引所で購入したほうがよいでしょう。
3. 2つのウォレットを用意する
購入した時点でASTRを手に入れていますが、NFTマーケットプレイスなどで取引するにはASTRをウォレットに入れる必要があります。
NFTを購入する目的の場合、下記のウォレットをインストールしてください。
Polkadot.jsはASTRを受け取るために、MetaMaskはNFTマーケットプレイスと接続するために必要です。
4. Polkadot.jsに送金する
Polkadot.jsでウォレットアドレスを確認して、bitbankからASTRを送金します。
「MetaMaskに直接送金すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、bitbankはネイティブなAstarアドレスのみ対応しており、MetaMaskにASTRを送れません。
MetaMaskのアドレスに送金してしまうとASTRが消失してしまうので、必ずPolkadot.jsにASTRを送ってください。
なお、ASTRの出金には2.5ASTRの手数料がかかります。
取引時のガス代としてもASTRを使うことになるため、使う予定より多めにASTRを送金しましょう。
5. Astar Portalに接続する
Polkadot.jsからMetaMaskにASTRを送金するには、Astar Portalを利用する必要があります。
Astar Portalにアクセスし、右上の「Connect」ボタンからPolkadot.jsを接続してください。
なお、Connectを押す前にポップアップが表示されてウォレットの接続を促される場合があります。
MetaMaskのポップアップが表示される場合は、MetaMaskを接続しないようにしましょう。
6. MetaMaskに送金する
Astar Portalの機能を使って、Polkadot.jsからMetaMaskに送金します。
メニューの「Assets」でASTRの欄内にある「Transfer」リンクをクリックしてください。
送金画面が表示されるので、送り先にMetaMaskのアドレスを入力しましょう。
数量も入力して送金を実行すれば、MetaMaskにASTRが入金されます。
まとめ:Astarを利用してみよう
日本発のAstarは、今後日本で展開していく可能性の高いブロックチェーンです。
また、大手企業と提携しており、将来性もあります。
日本で一番人気のブロックチェーンとなるポテンシャルも十分にあるので、早い段階から利用してみるのをおすすめします。
ポルカドットなど繋がりのあるプロジェクトと併せて、成長していくAstarをチェックしてみてください。