Astarで利用できるウォレットには2つの種類があるため、多くのAstarユーザーは2つのウォレットアドレスを利用しています。
そのため、それぞれのアドレスの管理が面倒に感じる場面もあるでしょう。
この記事では、2種類のウォレットのマッピング・紐づけをおこなう機能である「AstarPass」について解説します。
この記事のザックリ解説!
✅AstarPassに登録したユーザーは、ネイティブウォレットとEVMウォレットが紐づけられる
✅AstarPassへの登録を有効にするには500ASTRを預ける(ステーキングする)必要がある
✅AstarPass登録者に向けたキャンペーンがいくつも実施されている
AstarPass保有者に向けて特典などが配布された事例も紹介するので、これからAstarに参入していこうと考えている方は、ぜひ本記事を読んでみてください。
AstarPassとは?
AstarPassとは、ネイティブウォレットとEVMウォレットを紐づける仕組みです。
ネイティブウォレット:polkadot.jsなど、Polkadotで使用するウォレット
EVMウォレット:MetaMaskなど、イーサリアム系に対応するウォレット
ネイティブウォレットとEVMウォレットは別々に管理されているため、ネイティブウォレットのユーザーがどのEVMウォレットを使っているかをAstarPassで登録します。
dAppステーキングで利用されることを想定されていますが、エアドロップやキャンペーンの応募条件として用いられる場合もあります。
dAppステーキングとは?
dAppステーキングはAstarネットワークがもつ機能の一つで、特定のサービスやアプリに対してASTRトークンを預けることで、そのサービスの開発者とユーザーが報酬を受け取れます。
サービスの開発者はdAppステーキングをしてくれたお礼として、無料でNFTやトークンを送るという形でユーザーに還元する場合が考えられるでしょう。
しかし、dAppステーキングはネイティブウォレットでしかおこなえないため、開発者がEVMウォレットにNFTやトークンを送ろうとしても、アドレスがわかりません。
この問題を解消するために、AstarPassが誕生しました。
こうした経緯もあって、AstarPassを有効にするにはdAppステーキングをする必要もあります。
AstarPassの登録方法
AstarPassの登録は、専用の登録ページで簡単におこなえます。
AstarPassの登録のために用意するのは、紐づけたいネイティブウォレットとEVMウォレットの2点+少量のガス代です。
まだウォレットを持っていない場合は、登録を始める前にウォレットをインストールし、アカウントを作成しておきましょう。
ここでは、polkadot.jsとMetaMaskを紐づけると仮定して説明していきます。
1. ネイティブウォレットを接続する
登録ページを開いたら「Connect to Native Wallet」ボタンを押してください。
接続したいウォレットとアカウントを聞かれるので紐づけたいウォレットを選びましょう。
正しく接続できれば、ボタンの表記が「Connected to (アドレスの一部)」に変わるはずです。
もし接続できないときは、アカウントが接続するネットワークを「Astar Network」に変更するとうまくいく場合があります。
2. EVMウォレットを接続する
ネイティブウォレットの次は、EVMウォレットを接続します。
接続するには、「Connect to MetaMask」を押してMetaMaskで署名をすればOKです。
接続に成功すれば、ボタンの表記がアドレスを含むものに変わります。
2023年1月時点では、EVMウォレットのアドレスはMetaMaskアドレスとも呼ばれており、EVMウォレットとして接続できるのはMetaMaskのみです。
別のウォレットを使用している場合は、Astar用のアカウントをMetaMaskで作成しましょう。
3. 登録を実行する
2つのウォレットを接続できたら、最後のボタン「Register to AstarPass」を押してください。
するとMetaMaskでガス代が表示されるので、「確認」ボタンを押して登録を実行しましょう。
もしガス代に支払えるASTRがウォレットになければ、Astar Portalのfaucet機能で少量のASTRを手に入れることができます。
4. 登録完了を確認する
登録が完了すると、完了した旨のメッセージが表示され、「Your status」の項目が「Registered」に変わります。
紐づいているウォレットのアドレスも表示されているので、問題ないことを確認しましょう。
後日になって紐づけたウォレットを忘れてしまった場合は、AstarPass登録ページでネイティブウォレットを接続すれば、EVMウォレットのアドレスの一部を確認できます。
AstarPassに関する注意点
AstarPassのついて知っておくべき注意点が3つあります。
・紐づけられるアドレスは、1つのネイティブアドレスにつき1つのEVMアドレス
・AstarPassを有効にするにはdAppステーキングをする必要がある
・紐づけによってウォレットの中身が同期するわけではない
取り返しのつかないポイントもあるので、よく確認しておきましょう。
紐づけられるアドレスは1:1
ネイティブウォレットのアドレス1つに紐づけられるのは、EVMウォレットのアドレス1つだけです。
1つのネイティブアドレスに2つ以上のEVMアドレスを紐づけたり、1つのEVMアドレスに2つ以上のネイティブアドレスを紐づけたりすることはできません。
複数のアドレスを紐づけたい場合は、用意したネイティブアドレスと同数のEVMアドレスが必要になるので、気を付けましょう。
dAppステーキングをする必要がある
AstarPassの登録完了時に表示されるメッセージにもあるように、AstarPassを有効にするにはdAppステーキングを利用しなければなりません。
Astar Portalのページにアクセスし、任意のdAppを選んでASTRを預けましょう。
dAppステーキングを始めるには、最低500ASTR(約3000円)が必要です。
また、預けたASTRを返してもらう際に10日間ロックされ、期間中はASTRを再び預けたり移動したりすることができなくなる点にも注意してください。
ウォレットの中身が同期するわけではない
AstarPassは2つのウォレットの持ち主が同じであることを証明するだけで、ウォレットの中にあるトークンが同期するわけではありません。
AstarPassに登録しても、ネイティブウォレットのトークンはネイティブウォレットのものですし、EVMウォレットのトークンも同様です。
ウォレットを紐づければ2つのウォレット間の送金がスムーズにできる・・・といった機能的なメリットはないと考えてください。
AstarPassに登録するメリット
AstarPassに登録すると、サービスやアプリの開発者にアドレスの関係性を把握してもらえるというメリットがあります。
直接的なメリットは、dAppステーキングをしている人向けのキャンペーンや特典配布に応募する権利を得られることです。
開発者の視点から見ても、キャンペーンごとにEVMアドレスを確認する手間が省けるという利点が挙げられます。
dAppステーキングと関連しないキャンペーンでもAstarPassへの登録が応募条件になっている場合があるため、登録だけでもしておくとよいでしょう。
AstarPassの実用例
AstarPassが実際に必要となったキャンペーンやエアドロップの事例を4つ紹介します。
・Astarnautのミントキャンペーン
・CandyGirlの抽選エアドロップ
・GalxeのHoliday Celebrationキャンペーン
・Starfish FinanceのSEANトークンプライベートセール
公式のキャンペーンから企業のエアドロップまで、AstarPass関連の事例は幅広いです。
配布しているものもNFTだったりトークンだったりするので、詳細を1つずつ確認していきましょう。
Astarnautのミントキャンペーン
AstarPassの登録が開始されたときに、先着1万名の登録者に対してNFTコレクション「Astarnaut」が発行されました。
Astarnautには専用のミントページが用意されており、AstarPassに登録したウォレット1つにつき1体のNFTを受け取れたようです。
AstarPassに登録することで参加できる最初のキャンペーンだったといえるでしょう。
なお、AstarnautはAstarPass開始を記念するNFTであり、Astarnaut自体には使い道(ユーティリティ)がありません。
Astarnautを持っていなくてもAstarPassは登録できるので、混同しないように注意してください。
CandyGirlの抽選エアドロップ
2023年12月16日に開催されたAstarのイベントに事前登録した人から、抽選で10名に「CandyGirl」のNFTが当たるキャンペーンが実施されていました。
このキャンペーンの応募要項の1つだったのが、AstarPassの登録です。
ちなみにCandyGirlとは、世界的に有名なアーティスト天野喜孝氏が手掛けているファインアート「CANDY GIRL」をもとにしたNFTアートのコレクション。
ファッションイベントやバーチャルミュージカル、楽曲リリースなどの展開が予定されており、NFT保有者には多くの特典が用意される予定とのことです。
Galxeのキャンペーン
(Galxe|Galxe Holiday Celebration 2022)
2022年12月から2023年1月にかけてGalxeで開催されたキャンペーンで、AstarPassの登録が必要なタスクがありました。
Galxe(旧名Project Galaxy)とは、提供者が提示したタスクを達成することでNFTなどの報酬を受け取るといったことができるWeb3サービスです。
15日間連続で公開されるタスクを達成してNFTを集めるキャンペーン「Galxe Holiday Celebration 2022」の9日目のタスクとして、Astar関連のタスクが提示されました。
このキャンペーンで条件を達成したユーザーは、総額3万ドル(約385万円)相当のトークン山分けに参加する権利が与えられています。
(参考)Medium|The 2022 Galxe Holiday Celebration
Starfish Financeのプライベートセール
(Medium|$SEAN Private Sale Round 1 — Whitelist Criteria)
2022年8月12日に、Starfish Financeが独自トークンSEANのプライベートセールを開催する際にAstarPassが利用されています。
プライベートセールに参加するにはホワイトリストに登録されている必要があり、以下の条件を満たしているか確認してもらうためにはAstarPassが用いられました。
・Astar PortalのXCM(Cross-chain Transfer)機能で任意のトークンを転送している
・Astar PortalのdAppステーキング機能でトークンを預けている
・AstridDAOのATIDステーキング機能でトークンを預けている
ちなみに、SEANトークンのプライベートセールはイーサリアムネットワーク上でおこなわれています。
この例のように、AstarPassで条件達成を確認したユーザーに、Astarネットワーク以外のブロックチェーンで特典を与えることも可能です。
まとめ:AstarPassに登録してみよう
ネイティブウォレットとEVMウォレット、2種類のウォレットを利用したキャンペーンを実施したい開発者にとって、AstarPassは便利です。
AstarPassに登録した人向けのキャンペーンがいくつも開催されているので、利用者にとっても有用といえるでしょう。
AstarPassへの理解を深めるためにも、まだ登録していないのであればAstarPassに登録してみてください。