わずか数日で約260億円を売り上げたNFTコレクション「Moonbirds」が、いくつものメディアで取り上げられ話題になりました。
なぜ短期間でこれだけの利益を生み出せたか、気になるところですよね。
この記事では、MoonbirdsがどんなNFTアートなのか解説するとともに、売上につながったと思われるポイントに触れていきます。
この記事を読んでわかること
- Moonbirdsの特徴や保有するメリットがわかる
- 関連するコミュニティであるPROOF Collectiveの概要がわかる
- Moonbirdsが短期間で売れた理由として考えられる要因がわかる
Moonbirdsが売れた理由を探りたい方は、本記事を読んで参考にしてみてください。
Moonbirdsとは?
Moonbirdsは、PROOF社が販売したNFTアートです。
Moonbirdsの販売を手掛けたKevin Rose氏は、Revision3やDiggなどのインターネットサービスを共同設立した経歴があります。
2012年から2015年には、GV(旧Google Ventures)のゼネラルパートナーを務めていました。
そういった過去をもつ彼が携わっているプロジェクトということもあり、Moonbirdsは注目されています。
自動生成された1万点のNFTアート
Moonbirdsはコンピュータで自動生成されたPFP(プロフィール画像)のNFTアートです。
フクロウやミミズクを模したドット絵イラストが描かれており、NFTごとに特徴が異なります。
頭が燃えていたり、全身が骨になっていたりと、個性豊かな特徴をもつものも存在します。
販売日に10倍以上の価格で取引された
Moonbirdsの前評判は高く、販売する前から購入希望者が多くいました。
その人気の高さから、当初ダッチオークション方式にする予定だった販売方法を、許可リスト取得者に購入権を与える抽選方式に切り替えることになったほどです。
販売価格は2.5ETH(約94万円)でしたが、その日のうちにOpenSeaでの最低販売価格は7.65ETH(約288万円)に上昇。
なかには、25ETH(約940万円)で購入されたものもあったようです。
参考:Coinphony|Moonbirdsは、NFTドロップミントアウトとして6600万ドルをもたらす予定です
販売後数日で約260億円の売上
販売してから3日足らずで、Moonbirdsの最低販売価格は21.3ETH(約800万円)に達し、コレクション全体の総売上は6万9000ETH(約260億円)にまで及んでいます。
OpenSeaの週間売上高ランキングでは、BAYC(Bored Ape Yacht Club)やAzukiなどの有名NFTを抑えて1位を飾りました。
こうしてMoonbirdsはインパクトのあるデビューを果たし、NFT界隈で有名なプロジェクトとして名を連ねています。
なお、2022年5月9日時点での最低価格は22ETH(約700万円)です。
The Sandboxも購入
2022年5月1日、The Sandboxの公式ツイッターアカウントでMoonbirdsを購入したことが明らかにされました。
その購入価格は350ETH(約1億3200万円)です。
The Sandboxは有名なメタバースゲームなので、ゲーム内にMoonbirdsが登場することも十分に考えられます。
それが実現すれば、Moonbirdsをより広く周知するきっかけになり、最低販売価格が上昇するかもしれません。
Moonbirdsのネスティング機能の概要
Moonbirdsが販売される前から明らかになっていた機能の1つに、ネスティングがあります。
ネスティングとは、MoonbirdsのNFTをネスト(巣)に預けて一定期間ロックすることで報酬を得られる機能を指します。
ほかのサービスでも見られる、NFTステーキングのようなものだと考えてよいでしょう。
預けた期間によって報酬がグレードアップ
ネスティングで得られる報酬は、NFTを預けた期間が長いほど良いものになります。
NFTを一定期間預けるとネストのグレードが上がっていきます。
たとえば、NFTを30日預けるとBronze Nestに、90日預けるとSilver Nestになります。
(YouTube|Moonbirds Nesting Update(4/29/22))
このようにグレードが上がるたびに「Box」と呼ばれる報酬が手に入ります。
また、不定期的に配布される「Moon Drops」の内容は、ネストのグレードに応じて変わるようです。
こうした長期的な運用が必要な報酬は、NFTの二次販売の数を減らして価値を高める意味でも有効に働くでしょう。
預けている間は取引不可
ネスティング中はNFTがロックされているため、送ったり売ったりといった取引はできません。
そのため、保有しているMoonbirdsのNFTをハッキングなどで抜き取られる心配がなくなります。
より良い報酬を受け取ることができ、NFTを守ることもできるため、ネスティングはまさに一石二鳥の機能です。
ただし、タイミングを見て売りたいと考えている場合はデメリットとなるでしょう。
その他の購入するメリット
Moonbirdsを購入するメリットとして、以下の点が挙げられるでしょう。
- PROOFのDiscordサーバーにアクセスできる
- 参加者が限定されたイベントなどに参加できる
- 購入したNFTの商業利用が可能
これらのメリットは「Moonbirdsを買いたい!」と思わせる理由なので、自分がNFTを販売する際の参考にするといいかもしれません。
それぞれのメリットの詳細を解説していきます。
PROOFのDiscordにアクセスできる
PROOFはNFT保有者のみ参加できるDiscordコミュニティを運営しています。
DiscordのコミュニティにはMoonbirdsチャンネルがあり、そこではイベントやドロップなどの情報が得られます。
さらに、MoonbirdsチャンネルにはPROOF Collectiveのメンバーもアクセスできるため、PROOF Collectiveメンバーと関わることが可能です。
PROOF Collectiveの詳細については後述しますが、この繋がりは大きなメリットといえるでしょう。
限定イベントに参加できる
MoonbirdsプロジェクトではNFT保有者限定のイベントや会合を予定しています。
オンラインでおこなわれる限定イベントもあり、そのなかにはHighriseと呼ばれるメタバースプロジェクトも含まれています。
ネスティングしているMoonbirdsの保持者がメタバースの早期アクセス権を得られるようなので、ネストのグレードによって参加できるイベントが異なる可能性もありえるでしょう。
商用利用が可能
購入したMoonbirdsのNFTは商用利用が可能です。
Moonbirdsは注目されているNFTコレクションなので、ビジネスにうまく活用すれば利益を伸ばせるでしょう。
たとえば、購入したMoonbirdsをモチーフにした別のNFTアートを作ったり、グッズを販売したりすると面白いかもしれません。
ちなみに、The Sandboxでは購入したNFTをもとにアバターを作成しています。
PROOF Collectiveとは
PROOF CollectiveはPROOFが運営しているプライベートコミュニティです。
運営が同じということもあり、Moonbirdsとは接点があります。
たとえば、PROOF Collectiveメンバーに対して、2体のMoonbirdsが無料で配布されました。
Moonbirdsをより深く知るためには、PROOF Collectiveについても学ぶ必要があるでしょう。
1000人のNFTコレクターやアーティストが集まるコミュニティ
PROOF CollectiveにはNFTコレクターやNFTアーティストが1000人参加しています。
参加メンバーは限定Discordチャンネルに集まり、NFTに関する有益な情報を交換しているようです。
CryptoPunksやBAYCなどの高価なNFTを保有しているメンバーが多いため、質の高い情報を期待できるでしょう。
また、NFTアーティストと直接交流できるため、新しいNFT作品を入手する機会を得られる可能性があります。
メンバー向けのオリジナルコレクションGrails
PROOF CollectiveではGrailsというNFTコレクションがメンバー向けに販売されました。
Grailsは20人のアーティストによって計20作品が作られ、メンバー全員にいずれか1つを購入する機会が与えられています。
販売が完了するまでアーティスト名が隠されていたため、どの作品を誰が作ったかわからない状態で販売されたようです。
なお、GrailsはOpenSeaで取引することが可能で、2022年5月9日時点の最低価格は2.2ETH(約70万円)です。
参加するにはメンバーシップNFTが必要
PROOF Collectiveに参加するにはメンバーシップNFTを入手する必要があります。
NFTは発行済みの1000点より多く作る予定はないため、OpenSeaで売りに出ているものを購入しなければ手に入りません。
最低価格は69ETH(約2214万円)と、Moonbirdsと比べて高価です。
PROOF Collectiveのメンバーと交流するために比較的安価なMoonbirdsを購入するといった選択肢が考えられるでしょう。
Moonbirdsの今後の展開
(YouTube|Moonbirds Nesting Update(4/29/22))
4月29日に公開された動画で、Moonbirdsに以下の機能を実装する予定だと明らかになりました。
- Public Profiles(自分が保持しているNFTの状態を閲覧)
- Global Dashboard(Moonbirds全体のネスティング状況などを確認)
- Achievements(条件達成などでもらえる称号のようなもの)
- Passport(NYC MEETUPなどのイベントを管理)
新しい機能の実装については、公式Twitterなどで進捗を確認できます。
こうした計画の透明性により、Moonbirdsの信頼性は高められていると考えられます。
Moonbirdsの特徴から考えられる人気の要因
以上で解説したMoonbirdsの特徴から、短期間で売れた理由として以下の要因が考えられます。
- 著名人であるKevin Rose氏が立ち上げた(信頼と実績)
- CryptoPunksやBAYCと同様に1万点のコレクション(希少性)
- 保有することで得られるメリットが豊富(機能性)
- 既存の大きなコミュニティ(PROOF Collective)との繋がりがある(知名度)
- 今後の予定が明確に公開されている(透明性)
1と4は、Moonbirdsを販売するまでに積み重ねてきた実績による、信頼と知名度が要因であると言い換えられます。
実績を作るには時間がかかるため、短期間でこの要素を取り入れるのは難しいでしょう。
その点、1と4以外の要素である希少性、機能性、透明性は比較的短い期間で取り入れやすい要因です。
これらの要因を、これからNFTを始める際は考慮するようにしましょう。
それぞれの要因を取り入れるためにできること
Moonbirdsの特徴やメリットを見て「自分にはMoonbirdsのような要因を取り入れるのは難しい・・・」と思われるかもしれません。
しかし、数日のうちに数百億円を稼いだやり方をそのまま真似る必要はないでしょう。
小規模なグループや個人でも可能なレベルで実践すれば、目標とする売上を出せる見込みはあります。
以下で具体的な方法案を解説するので、どんなことであればできるのか考えてみてください。
自分の作品の需要を把握して販売数を決める
自分のNFTアートの需要(どれだけの人が購入してくれそうか)を把握し、その数より少ない量を販売しましょう。
あなたのNFTを欲しがる人全員に行き渡る数を販売してしまうと、それ以上の流通はなく、NFTの価値は上がらなくなってしまいます。
通常のNFTアートであれば基本的に1点限り、複数作るのであれば特徴を少し変えて同一のものはないようにしましょう。
具体的な販売数は、SNSなどでNFTの無料配布を行い、申し込まれた数を参考にする野が良いと思います。
将来的に実装できる機能を考えてみる
販売するNFTには、なるべく機能を付けたいところです。
もし鑑賞するだけのNFTアートを作った場合、知名度や実績がなければ高く売れない確率が高いです。
現時点で実現できていなくても構わないので、いつか実装しうる機能をアピールしましょう。
販売時点で存在しない機能をセールスポイントにしているのはMoonbirdsも同様です。
限定コミュニティへのアクセス権や、独自トークンの発行など、魅力的に感じてもらいやすい機能を考えてみてください。
ただし、実現させることができなければ信用を失うので、風呂敷を広げすぎないように気をつけましょう。
取り組みはこまめに表へ出そう
NFTに関わる情報は逐一公開する必要があります。
たとえば、近日公開する予定の機能について1ヶ月以上情報を出さなければ、「機能を実装するつもりがないのでは」と疑われかねません。
公式ページやSNSで継続的に情報をこまめに出し、NFTに対する不安を取り除きましょう。
発信回数を多くすれば、短い期間でも信頼を得やすいです。
出せる情報がない場合も、直接関係のない話で構わないので発信を心がけてください。
人の手を借りるのもアリ
自分の信頼や実績を積み上げていくのには時間がかかりますが、ほかの人が持っている信頼に頼れば短期間で知名度を高められます。
たとえば、著名人にあなたのNFTを利用してもらったり、大手コミュニティ内で商品を宣伝したりすることで、独力以上の発信力で知名度を上げられるでしょう。
ほかにも、既存のNFTを商用利用すれば、知名度を借りられるぶん自作のNFTアートより売れやすい可能性があります。
インフルエンサーがNFTを利用したことでNFTの価格が上がった事例はMoonbirdsでもありました。
ただ、このときNFTの渡し方が問題になったようなので、無料で著名人へNFTを渡す際は注意してください。
参考:yahooニュース|インフルエンサーのNFT購入が問題に? フォロワー5000万人超えの人気司会者により「Moonbirds」の価値が急上昇
まとめ:Moonbirdsが売れた要因を取り入れてみよう
本記事では、Moonbirdsが売れた要因として以下の5点を挙げました。
- 需要以上に発行しない希少性
- メリットとなる多彩な機能性
- プロジェクトの動きがつねに把握できる透明性
- プロジェクトチームおよびメンバーの実績
- すでに運用しているプロジェクトやコミュニティの知名度
もしあなたが短期間で利益を得たいと考えているのであれば、上の3つの要因を満たすNFTコレクションを作ることで良い結果に繋がるでしょう。
また、コミュニティを成長させたり実績を積んだりするといった、長期的な取り組みが必要な要因も徐々に進めていくと、将来的にプラスとなります。
短期間で得られる利益を最大化しつつ実績を積み、ゆくゆくはMoonbirdsにも劣らないNFTコレクションの作成を目指してみましょう。