NFTの売買などを始めるためには、仮想通貨が必要となるでしょう。
しかし、仮想通貨には価格が変動しやすい性質があるため、持つことに不安を感じている人が多いかもしれません。
価格の変化が気になるのであれば、ステーブルコインである「JPYC」の購入がおすすめです。
この記事では、ブロックチェーン上で扱える日本円のようなデジタル通貨JPYCを紹介します。
この記事のザックリ要約!
✅JPYCは法定通貨を担保にすることで1JPYC=1円を実現しているプリペイド式の通貨
✅未成年でも購入可能で、銀行振込をすることで仮想通貨用ウォレットに送金される
✅JPYCは仮想通貨やギフト券と交換できる
JPYCの買い方や、ギフト券に交換する方法も解説するので、価格が安定しているデジタル通貨に興味があれば、ぜひ本記事を読んでみてください。
JPYCの概要
(JPYC)
JPYCは、2021年1月27日に発行・販売が開始された、ブロックチェーン上で利用できるデジタル通貨です。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨のように、対応しているWeb3サービスで支払う通貨として利用できます。
JPYCの特徴は、法定通貨と同価値の通貨(=ステーブルコイン)である点です。
つねに1JPYC=1円で購入できるようになっているため、価格変動の激しい仮想通貨よりも扱いやすいといえるでしょう。
法定通貨担保型のステーブルコイン
価格を法定通貨と同じにする方法によって、ステーブルコインのタイプは次の4つに分かれます。
タイプ名 | 仕組みの概要 |
法定通貨担保型 | 発行元の機関が法定通貨を受け取ると、同じ価格ぶんのステーブルコインを発行する。 |
仮想通貨担保型 | 受け取った仮想通貨に応じたステーブルコインを発行する。仮想通貨には価格変動のリスクがあるため、1:1ではない場合が多い。 |
コモディティ型 | 金や原油を担保にしてステーブルコインを発行する。暗号資産の値動きと逆転しやすい。 |
無担保型 | 仮想通貨のアルゴリズム(プログラム)を用いて、価格が安定するよう供給量をコントロールする。 |
JPYCが採用している方法は法定通貨担保型で、発行元の企業が破綻しない限りは価格が安定する仕組みになっています。
前払式の支払い手段である
JPYCは仮想通貨と同じように扱えますが、厳密には前払式の支払い手段(=プリペイド)に分類されます。
つまり、Suicaなどのチャージ式プリペイドカードや、商品券などと同じ分類です。
法的に仮想通貨とは異なるため、確定申告などでは扱いに気を付けましょう。
ただし、二次流通で仮想通貨と交換することも可能な点から、便宜上、仮想通貨として扱われる場合もあります。
複数のブロックチェーンに対応
2023年1月時点で、JPYCは以下のブロックチェーンに対応しています。
・Polygon(ポリゴン)
・Astar(アスター)
・Avalanche(アバランチ)
・Ethereum(イーサリアム)
・Shiden(シデン)
・Gnosis(グノーシス)
JPYCを購入する際は、この中から1つのブロックチェーンを選ぶ必要があります。
たとえば、Polygonで受け取ったJPYCはPolygon以外のブロックチェーンで提供するサービスでは利用できません。
ブロックチェーンを間違えた場合は、正しいブロックチェーンで買い直すか、後述するブリッジをおこないましょう。
JPYCを購入するメリット
JPYCを購入するメリットとして挙げられるのは、次の3点です。
・価格変動を気にせずに保有できる
・Vプリカギフトに交換できる
・18歳未満でも購入可能
仮想通貨の取引をしている人や始めたい人にとって、触りやすいデジタル通貨であるといえるでしょう。
各メリットの詳細について、以下で解説します。
価格変動を気にせずに保有できる
JPYCはステーブルコインなので、長期間保有するときに仮想通貨市場の価格変動を気にしないで済みます。
いつの間にか価格が下がっていて損してしまった……という事態が起こりにくいので、安心して保有し続けられます。
仮想通貨全体の相場が不安定なときは、JPYCなどのステーブルコインに換金しておくとよいかもしれません。
Vプリカギフトに交換できる
JPYCから直接Vプリカギフトに交換できる点もメリットです。
Vプリカギフトとは、クレジットカードのVisaカードが使えるお店であればどこでも使えるプリペイドカードです。
Vプリカギフトがあれば、クレジットカードを作れない人でもネットショッピングなどでクレジット払いができます。
日本円でVプリカギフトを買えますが、仮想通貨をVプリカギフトにするなら一度JPYCにしてから購入するほうが、手数料と手間がかからないでしょう。
18歳未満でも購入可能
JPYCの利用規約が2022年12月15日に改定され、法定代理人による同意を得た未成年者がJPYCを購入できると明記されました。
仮想通貨を購入できる取引所のほとんどが未成年の口座開設を制限していますが、JPYCの販売所を利用すれば、未成年でも仮想通貨の取引を始められます。
ただし、18歳未満の利用に何らかの制限をかけているサイトやアプリが大半なので、仮想通貨の取引をする際は、各サービスの利用規約をよくチェックする必要があるでしょう。
JPYCの買い方
JPYCを購入するには、JPYC購入所を利用します。
購入に必要なものは、日本円を振り込むために使う銀行口座と、JPYCを保管するための仮想通貨ウォレットです。
仮想通貨ウォレットに関しては、WalletConnectに対応したウォレットやメタマスクであればどれでも構いません。
もし仮想通貨ウォレットを持っていないのであれば、メタマスクをインストールしてください。
フォームに必要事項を入力する
JPYC AppsのJPYC販売所にアクセスして、JPYCの購入を始めます。
始めの入力フォームで入力する項目は次のとおりです。
項目名 | 入力する内容 |
購入金額 | 購入するJPYCの数量。最低購入額は3000JPYC。 |
ネットワーク | 購入したJPYCを受け取るブロックチェーンを選択。 |
送信先アドレス(接続中のウォレット) | 購入したJPYCを受け取るウォレットのアドレス。右上の「接続」ボタンからウォレットを接続していれば、自動的に入力される。 |
セイ・メイ | 購入者の名前(姓と名)。 |
メールアドレス | 購入者のメールアドレス。 |
支払い方法 | 日本円を支払う方法。銀行振込のみ。 |
☐上記に同意する | 以下の文を確認したら、クリックしてチェックマークを付ける。 ・JPYCの利用規約・プライバシーポリシー・特定商取引法に関する表示・資金決済法に基づく表示 |
もし利用したいブロックチェーンが決まっていない場合は、ガス代などの手数料が低いPolygonやAstarをネットワークに選択するのがおすすめです。
すべての項目を入力したら、一番下にある「確認画面へ」ボタンから次へ進みましょう。
確認画面で入力した情報に問題がなければ「この内容で申し込む」ボタンから、さらに次へ進んでください。
指定の銀行口座に振り込む
銀行振込の画面になると、日本円の振込先となる銀行口座が表示されます。
表示された銀行口座に、入力画面で入力した金額を振り込んでください。
なお、1週間以内に振り込まなかった場合、注文はキャンセルされてしまいます。
銀行の振込日やタイミングによっては振り込みに数日かかることもあるので、注文してすぐに振り込むのが確実です。
JPYCの受け取りを確認する
日本円の振り込みが確認された翌営業日までに、入力画面で入力したウォレットアドレス宛てにJPYCが送金されます。
ウォレットに入っているJPYCを確認するには、ウォレットを接続してからJPYC Appsの右上にあるアドレス表示部分をクリックしてください。
もしメタマスクでJPYCを確認できるようにしたいのであれば、各ブロックチェーンの表示の右端にあるメタマスクのアイコンをクリックしましょう。
ネットワークの追加や変更、トークンの追加を承認することで、各ブロックチェーンのJPYCの残高が表示されるようになります。
JPYCの交換・ブリッジ方法
JPYCをそのまま使えるサービスもいくつかありますが、ほかの仮想通貨を購入するためにJPYCを購入するケースが多いでしょう。
そこで、JPYCを仮想通貨と交換する方法を解説します。
また、場合によってはJPYCをブリッジ(=ほかのブロックチェーンに移動)させたいこともあるでしょう。
その場合にcBridgeを利用してブリッジをおこなう方法も解説していきます。
スワップ機能で仮想通貨に交換する
(ArthSwap)
JPYCを仮想通貨に変えるには、DeFiサイトのスワップ機能を利用します。
DeFiサイトは仮想通貨の交換や移動などをおこなってくれるサービスを提供しており、それぞれのブロックチェーンで利用できます。
JPYCを扱えるDeFiサイトには以下のようなものがあるので、ウォレットを接続してスワップ機能を試してみてください。
ブロックチェーン | DeFiサイトの例 |
Polygon(ポリゴン) | QuickSwap |
Astar(アスター) | ArthSwap |
Avalanche(アバランチ) | Pangolin |
Ethereum(イーサリアム) | Uniswap、Sushi |
Shiden(シデン) | Kaco |
Gnosis(グノーシス) | Honeyswap |
紹介したDeFiサイトのなかには複数のブロックチェーンに対応しているものもあります。
JPYCを交換できるサイトはほかにもあるので、使いやすいものを探してみるといいかもしれません。
cBridgeを利用してブリッジする
(cBridge)
JPYC Appsのサイト内メニューにある「cBridge」から、cBridgeというDeFiサイトに移動できます。
cBridgeでは35を超えるブロックチェーン間でのブリッジをおこなえます。
「Transfer」タブで送信元と送信先のブロックチェーン、送信するトークンの種類、数量を入力してTransferを実行しましょう。
選択したブロックチェーンによって送信できるトークンの種類が変わるので、JPYCを移動させるときはJPYCを扱えるブロックチェーンのみを選択してください。
JPYCをギフト券に交換する方法
JPYCは前払式支払手段であるため、JPYCから日本円に換金することは禁じられています。
そのため、JPYCから日本円に換金したい場合、代替案としてギフト券に交換することになるでしょう。
JPYC Appsのギフト券ページを利用すればgiftee BoxまたはVプリカギフトと交換できるので、その方法を解説します。
giftee Boxに交換する
giftee Boxはコンビニや飲食店、ネットサービスなど1000種類ものラインナップから好きな商品を選べるギフトサービスです。
100円単位で交換でき、アプリのダウンロードや会員登録が不要なため、Vプリカギフトより扱いやすいでしょう。
JPYCとgiftee Boxのポイントを交換するには、JPYC Appsのギフト券ページで「giftee Box」を選択し、以下の項目を入力してください。
・交換希望金額
・giftee Box お受取用メールアドレス
・JPYC送信元ネットワーク
・JPYC送信元アドレス
・お名前(セイ・メイ)
・同意のチェックボックス
入力して先のページに進むとJPYC送信画面になるので、送信ボタンを押してJPYCを送りましょう。
送金に成功すると、およそ5営業日後にメールが送られてきます。
メールに書かれているURLアドレスから交換ページにアクセスできるので、好きな商品を選んでポイントと交換しましょう。
Vプリカギフトに交換する
(Vプリカギフト)
Vプリカギフトは1万円単位で交換できるギフト券で、Visaのクレジットカードと同様に使えます。
JPYCをVプリカギフトに交換するには、JPYC Appsのギフト券ページでVプリカギフトを選択してください。
あとはgiftee Boxと同様に必要事項を入力し、JPYCを送金すれば、Vプリカギフトの登録に必要な情報が記載されたメールが届きます。
カードを有効化するために、Vプリカギフトの登録ページで認証番号やカード番号を入力しましょう。
JPYCの注意点
JPYCを利用するうえで、次の3点に注意しましょう。
・JPYCを取引するためのガス代は別で用意する
・DeFiサイトでの二次販売では価格がズレている場合がある
・JPYCにはv1とv2が存在する
これらの注意点は、いままで仮想通貨の取引をしたことがない人にとって、とくに重要です。
できる限り、注意点を確認してから取引を始めるようにしてください。
ガス代は別で用意する
JPYCを取引する際はガス代と呼ばれる手数料を払う必要があり、その支払いには決まった仮想通貨を使わなければなりません。
ガス代の支払いに使う仮想通貨はブロックチェーンごとに決まっています。
ブロックチェーン | 必要な仮想通貨(ネイティブトークン) |
Polygon(ポリゴン) | MATIC |
Astar(アスター) | ASTR |
Avalanche(アバランチ) | AVAX |
Ethereum(イーサリアム) | ETH |
Shiden(シデン) | SDN |
Gnosis(グノーシス) | GNO |
ブロックチェーンを利用する際にガス代がかかるため、基本的にはどんな取引でもガス代が必要です。
JPYCをギフト券に交換するため送金する際にもガス代がかかるので、仮想通貨取引所などを利用して必要なトークンを用意してください。
ちなみに、Astar Portalのfaucet機能のように、一部のブロックチェーンではガス代の支払いに使えるトークンが無料で手に入る場合もあります。
二次販売では価格にズレが生じる場合がある
(Coin Market Cap|JPY Coin価格チャート)
JPYC Appsの販売所では必ず1JPYC=1円のレートでJPYCを購入できますが、DeFiサイトのスワップなどでJPYCを取引する場合はレートが変わります。
とはいっても、極端にレートが変わることはなく、およそ1.05〜0.95円の間の価格に落ち着いています。
価格はリアルタイムで変動するため、念のため価格に注意しながら取引をおこないましょう。
JPYCにはv1とv2が存在する
(JPYC gitbook|ウォレットにJPYCのトークンを追加する)
JPYCにはv1、v2という2つのバージョンが存在しており、2023年1月時点で購入できるのはv2のJPYCのみです。
v1とv2ではコントラクトアドレスが異なり、別の通貨とみなされています。
もし利用できないJPYCを見つけたら、v1の可能性があるのでチェックしてみてください。
万が一、v1が手元にある場合は、JPYC AppsのJPYCv2交換所でv2に換金しましょう。
JPYC以外の日本円ステーブルコイン
日本円に連動したステーブルコインとしてJPYCは大きなシェアを占めていますが、JPYC以外にも日本円に関連付いたステーブルコインは存在します。
ここでは、日本円に関連しているステーブルコインを4つ紹介します。
ちなみに、Progmat Coin、DCJPY、JPYTなどのように開発中のステーブルコインもあります。
ZPC
ZPC(ジパングコイン)は、日本円で換算した金の価格に連動することを目指しているコモディティ型の暗号資産です。
金の価格と連動するため価格が落ちにくいメリットがあり、リスクを回避するための分散投資先として向いています。
国内の仮想通貨取引所でも取り扱われており、2023年1月時点ではデジタルアセットマーケッツやDMM bitcoin、bitFlyerで取引できます。
YEN
JPYCと同様、前払式支払手段のステーブルコインです。
「TORA」「Y-TORA」「Y-TORA2」というステーブルコインで実証実験をおこなった後に、2022年6月8日から販売を開始しました。
対応しているブロックチェーンがJPYCと異なっており、PolygonとBSC(バイナンススマートチェーン)に対応しています。
GYEN
(GYEN)
GMOインターネットグループの子会社であるGMO-Z.com Trust Companyが発行している、法定通貨担保型の仮想通貨です。
GYENはアメリカの銀行法規制に則っているのが特徴で、日本国外での流通を目的としています。
日本居住者は販売対象外となっており、GYENの販売ページで購入することができなくなっています。
JPYA
2021年5月13日に販売を開始した、法定通貨担保型の前払式の通貨です。
ほかのステーブルコインとは違い、JPYAはIOSTネットワークで使用できます。
EthereumやPolygonなど、ほかのブロックチェーンにブリッジすることはできないので注意してください。
まとめ:JPYCは仮想通貨の初心者向き
価格変動により持っているだけで損得が発生する仮想通貨と比べて、1円と同価値のJPYCは初心者向きのデジタル通貨であるといえます。
仮想通貨取引所に登録しなくても購入できる点からも、仮想通貨に慣れていない人におすすめです。
まずはJPYCを購入し、ウォレットの扱い方などに慣れていくとよいでしょう。
ただし、仮想通貨取引所では多様な仮想通貨を売買できるため、目的によっては仮想通貨取引所を利用したほうがいい場合もあります。
仮想通貨を購入しやすくなるようにするため、仮想通貨取引所の口座開設にも挑戦してみてください。