こんにちは!NF times(エヌエフタイムス)の古田島です!
Web300では定期的に「Web300 COMMUNITY EVENT」を企画・主催しています。
今回は2023年1月25日に行われた「web2.0とweb3.0の接続へ MetaSamuraiを手掛けた『株式会社1SEC』のNFT戦略とは?」と題したセッションの模様をレポートしていきたいと思います。
ブルーチップを取得し、数々の著名IPや大企業とのコラボを実現してきた、勢いのあるNFTプロジェクト「MetaSamurai」の戦略や人気の理由について、株式会社1SEC 取締役COOの中村 成寿(じゅなりん)さんと、1BLOCK LAB ディレクターの堀井夏南美(かなみん)さんが語りました。
■登壇者のTwitter
じゅなりんさん:@nnaka6ra
かなみんさん:@1BLOCK_lab
Web300 COMMUNITYとは
Web3事業を展開するSTARS株式会社(代表取締役社長:大池知博)とNFT専門メディアのNF times(運営:株式会社boom now、代表:西川勇佑)は上場、大手企業社長役員100名と新しい世代の若手100名の参加でスタートする新しい形の経済コミュニティ『Web300』の運営を開始。
Web300 COMMUNITYのコンセプトは、各界隈のプロフェッショナルの人たちをお呼びして最先端の厳選された情報やノウハウやネットワークを提供し、その情報やネットワークを元にWeb3の事業や既存の事業に活かすこと。
詳しくはこちら↓
Web300主催のTOKYOWeb3FES総括!
冒頭ではWeb300運営事務局長の西川が、昨年12月に開催された「TOKYOWeb3FES」を振り返りました。
当日の来場者は2000名に上り、イベント告知ツイートの表示回数は160,000回、エンゲージメントは7,000回と、多くの反響を得ることができました。
「初回の開催を踏まえ、反省点や改善点をブラッシュアップしていけるよう、今後に活かしたい」と西川は次回開催への抱負を述べました。
トークセッションのサマリ
いよいよメインであるMetaSamuraiのNFT戦略についてのセッションとなります。
その前に今回の主なテーマについて記載したいと思います。
①1SECとはどのような会社か?
②他のプロジェクトにはないMetaSamuraiの優位性
③思想を意味づけして世界観を構築している
④MetaSamuraiの持つ類い稀な“コラボ力”
⑤2次セールスの強さと企業がNFTに参入する際のコツ
⑥2023年のweb3業界の動向や今後の展望
①1SECとはどのような会社か?
1SECは今年で5期目の会社で、ミッションに「We empower people and businesses」(世界一、個人や企業をエンパワーメントさせる)を掲げ、さまざまな事業展開をしています。
AIやXRのソフトウェア開発や3DCGテクノロジーを活用したプロダクト開発、 AIを搭載したバーチャルヒューマンの企画・開発、ファンコミュニティサービス「PEEEPS」のプラットフォーム運営など、そのビジネス領域は多岐に渡ります。
こうしたなか、1SECの保有するアセットをさらにエキスパンションするべく、2021年にはクリエイティブスタジオ「1BLOCK」を立ち上げ、web3領域へと事業を拡大しています。
同年4月に発売した日本初のバーチャルスニーカーNFT「AIR SMOKE 1」は、瞬く間に話題となって即完売。
そして、2022年6月にはNFTプロジェクト「MetaSamurai」をローンチし、次々と名だたるブランドやIPとのコラボを実現させ、web3業界にその名を轟かせました。
じゅなりんさんは、NFTプロジェクトのマーケティングや事業戦略を統括するCOOとして従事しており、1BLOCK全体の成長に大きく貢献してきました。
また、かなみんさんは企業向けにweb3やNFTビジネスへの参入を支援する「1BLOCK LAB」に所属し、プロジェクトの支援から設計、NFTの発行までをサポートするほか、MetaSamuraiの企業コラボ案件のディレクターも務めています。
②他のプロジェクトにはないMetaSamuraiの優位性
MetaSamuraiは累計取引高が約5億円*1を突破し、一時的な取扱高が世界ランキング1位*2を獲得するなど、国内外で非常に高い評価を受けているブルーチップコレクションです。
*1 :世界最大規模のNFTマーケットプレイスOpenSeaのコレクション部門(イーサリアム)においての一時的な取扱高
*2 :1BLOCKが開発,運営する全NFTコレクションの累計取引高(一次流通,二次流通含む)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000044158.html
なぜ、ここまでNFTプロジェクトを成長させることができたのでしょうか。
他のプロジェクトにはない強みについて、じゅなりんさんは「MetaSamuraiを立ち上げる前に、3DCG制作や個人をエンパワーメントするためのプラットフォーム運営、クリエイターとのネットワークなど、プロジェクトを創る基盤の構築ができていたのが大きい」と語ります。
「会社としてNFTプロジェクトを運営し、ビジネスとして持続的な成長をさせていくために、“犬×サムライ”のコンセプト立案からデザイン、クリエイティブに落とし込んでいきました。また、他のブランドやIPとコラボしやすいようなシンプルで洗練されたフォルムを意識したことで、COACHやatmos、ルパン三世や宇宙兄弟といった著名ファッションブランドやアニメとのコラボを早い段階で発表できたのも、1BLOCKのブランド作りと、MetaSamuraiの認知度アップに寄与したと考えています」
③思想を意味づけして世界観を構築している
また、MetaSamuraiのホルダーやプロジェクトを支援するパートナー企業などを総称して「1BG」(1BLOCK GANG)と呼んでおり、1BGとともに新しいカルチャーやエンターテイメントを創造していくビジョンを描いています。
「あくまでNFTは手段でしかなく、MetaSamuraiが新たなカルチャーの担い手となり、NFTを保有していること自体が“ブランド”となるような価値を生み出していきたい」
そう話すじゅなりんさんは、MetaSamuraiに宿している大切な思想の「I GOT YOUR BACK」についてこう説明しました。
「『I GOT YOUR BACK』とは“お互いの背中を預け、託せ合える関係性”を象徴したMetaSamuraiの根底にあるフィロソフィーです。運営とホルダーが信頼し合い、ともに世界観を共有する仲間という意味を付与することで、コミュニティの熱量が醸成され、何か意思決定に迷った際にも判断の指針になるんです。こうした一貫性のあるメッセージを持つことで、MetaSamuraiならではの付加価値を生み出すことができ、それが優位性につながると思っています」
企業がMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパス(存在意義)などを言語化するように、NFTプロジェクトも世界観を体現したブランドフィロソフィーを作って展開していくのがいいのかもしれません。
④MetaSamuraiの持つ類い稀な“コラボ力”
そんななか、MetaSamuraiの特徴として挙げられるのが、類い稀な“コラボ力”と2次セールスの強さです。
特にものすごいスピード感を持って、錚々たる企業やIPとのコラボを実現させてきたのは、MetaSamuraiの持つブランド力があってからこそでしょう。
じゅなりさんは「実績を積み重ねることで問い合わせや提案が自然と増え、組める相手も広がってくる」とし、次のように話します。
「現状、大企業が抱える課題感としては、NFTに対してなかなか最初の一歩を踏み出しにくいのが挙げられます。また、仮にNFTを出した後もその後の運営が大変になるなど、参入へのハードルが高い。
こうした状況下で、1BLOCKとパートナーシップを締結する際は、我々の思い描く構想や策定しているロードマップに賛同してもらい、パートナー先のデザインやテイストをMetaSamuraiに取り入れてもらうのを意識しています。こうすれば、リスクの軽減やコストを抑えることができるんです」
かなみんさんは、BEAMS発の新プロジェクト「BEAMS CULTUART」とのコラボ案件でディレクションを担当しており、「BEAMSと同じ目線に立ち、プロジェクトの企画やマーケティングプランを立てるように留意した」と説明します。
「もともとBEAMSは、メタバース上の店舗やEコマースなどに取り組んでいて、NFTにも興味を持っていました。既存のBEAMSファンをどのように取り込み、かつ店舗を巻き込んでの施策にできるか。いろいろと試行錯誤するなかで、昨年12月のクリスマスに合わせ、弊社が提供するARアプリ『METADRIP』と連動させた『BEAMS CULTUART X MetaSamurai』のプレゼントキャンペーンを立案し、フィジカルとweb3を融合させた施策を行いました。結果として、普段からweb3に触れていないクリプト初心者のファンを巻き込むことができ、NFTを通じて、新たなエンゲージの機会を創出することができました」
⑤2次セールスの強さと企業がNFTに参入する際のコツ
MetaSamuraiにおける2次セールスの強さを保つ上で、「『I GOT YOUR BACK』という思想のもと、コラボアイテムや新規サービス、フィジカルブランドなどのリリースをスピーディに成し遂げていくこと。そして、常に1BGの方々にワクワクを提供し続けることが求められる」とじゅなりさんは言います。
「お披露目する」、「新作を発表する」と言っておきながら、先延ばしにしてしまい、いつまでたっても動きがない「やるやる詐欺」ではダメだというわけです。
一方、企業のNFT参入を提案する場合に大切なのは「ブランドやIPのメリットをしっかりと考えた上で提案すること」。
加えて、いかにリスクを減らし、制作コストを要求しない形で組むことができるかも、抑えるべきポイントでしょう。
「我々の手がけるMetaSamuraiは、利益重視でコラボはしておらず、その後の展開まで見据えた形で提案しています。また、NFTプロジェクトに意味を見出し、ホルダーと一緒に創り上げていくマインドを持つこと。お互いがリスペクトし合えるような関係性が作れるように工夫を凝らすことも大切になってくるでしょう」(じゅなりんさん)
⑥2023年のweb3業界の動向や今後の展望
昨年はFTX破綻が大きな波紋を呼び、web3業界全体を揺るがしましたが、2023年の業界動向について、有識者はどう捉えているのでしょうか。
じゅなりんさんは「海外のバブルは弾けて停滞期に突入し、日本も盛り上がりは見せているものの、まだまだ黎明期だと感じている」とし、自身の見解を示します。
「NFTプロジェクトで言えば、数多くの新規参入が生まれたことで、より本質的なところが、これから抜きん出るために必要になるのではと考えています。地盤を固めてスピーディに運営していくのはもとより、アウトプットや熱量はあるのか、コミュニティは盛り上がっているのか、意味付けされた思想を創造しているかなど、抑えるべきところはしっかりと抑えるのが重要だと思います。我々としては全体の市況感に影響されないよう、自分たちの強みを追求し、さらなる飛躍の年にできるよう尽力したいですね」
最後に1SECにとってのweb3について、じゃなりんさんに黒板へ書いてもらいました。
「これからも1BGの方々と一緒に新たなカルチャーやエンタメを共創する手段を、1SECが提供できるように精進していきたいと思います。みんなでweb3を盛り上げていきましょう!」