NFTは、ネットやメタバースだけのものではありません。
いまや世界中の美術館がNFTに注目しており、NFT特化の美術館やプロジェクトが計画されつつあります。
この記事では、NFTや関連アートを扱う美術館やプロジェクトについて紹介します。
2021年における美術館の動きをまとめているので、本記事を読めば、今後NFTの扱いがどう変わっていくかの参考となるでしょう。
NFT美術館の紹介
2021年11月時点で建設中のNFT美術館を2つ紹介します。
1つは日本国内でリニューアル改装中のNFT鳴門美術館。
もう1つはニューヨークのマンハッタンにある111 West 57th Streetビル内で建設されている美術館です。
どちらも「日本初」「世界最大級」といった話題性を持っているため、今後の展開にも注目したいところです。
NFT鳴門美術館(鳴門ガレの森美術館)
(出典:NFT鳴門美術館 日本初のNFT美術館 公式ページ)
2021年8月に、徳島県鳴門市で管理、運営されていた鳴門ガレの森美術館が、NFT鳴門美術館に改名し、NFTを取り扱うことになりました。
NFTに特化した美術館として日本初となるNFT鳴門美術館では、ヒロ・ヤマガタ氏を皮切りに個人から法人まであらゆる作品を取り扱います。
また、美術館や博物館を対象にしたNFTマーケットプレイス、Apollo(アポロ)にてNFTの発行や販売、流通を可能にし、日本国内でのNFT普及を目指しています。
2021年11月時点では改装中、2022年1月末にリニューアルオープンの予定です。
「111 West 57th Street」ビル内の美術館
(出典:Luxury Manhattan Condominium Tower | 111 West 57th Street)
ニューヨークのマンハッタンにある高層ビル内に、世界最大級のNFT美術館を建設しています。
高層ビルの名前は、建設されている通りの名称と同じく111 West 57th Street。
高さ435メートルでありながら薄い建造物であり、世界一細い高層ビルと呼ばれることもあります。
マンハッタンの中心に存在するセントラルパークの横という立地条件から、このビルへ入居する美術館にも注目が集まるでしょう。
(参考:NFTに特化した世界最大級の美術館がNYに建設へ。その狙いとは?|美術手帖)
美術館で開催されたNFTプロジェクト
ここで挙げるのは、展示会やオークションといったNFTプロジェクトのうち美術館が関わった2例です。
- Virtual Niche(中国、UCCA Lab)
- Your token is kept in the Hermitage(ロシア、エルミタージュ美術館)
どちらの美術館もNFTに対して意欲的に取り組んでおり、すでに新たなプロジェクトを立ち上げています。
では、過去にどのようなプロジェクトを企画していたか確認していきましょう。
Virtual Niche - Have you ever seen memes in the mirror?
(参考:Virtual Niche Exhibition | Qinwen Wang)
2021年3月26日~4月4日に、中国北京の美術館UCCA Labでクリプトアートに重点をおいた展覧会が開催されました。
この展覧会ではBeeple氏をはじめとした30人のアーティストが作成したクリプトアート作品が展示され、その数は60点以上になります。
なお、展覧会を開催したマーケットプレイスのBlock Create Art(BCA)は、2021年12月24日以降にも上海でギャラリーを開催する予定です。
(参考:NFTは未来か、バブルか。美術館では世界初のクリプトアート展を主催したキュレーターに聞く|美術手帖)
Your token is kept in the Hermitage
(出典:Binance NFT)
ロシアのサンクトペテルブルクにあり世界遺産にも登録されている国立エルミタージュ美術館は、所蔵されている名画をNFT化しオークションへ出品しました。
下記はNFTが出品された作品の一覧です。
- ワシリー・カンディンスキー作「コンポジションⅥ」
- ジョルジョーネ作「ユディト」
- レオナルド・ダ・ヴィンチ作「リッタの聖母」
- クロード・モネ作「モンジュロンの庭の片隅」
- フィンセント・ファン・ゴッホ作「ライラックの茂み」
オークションは2021年8月31日~9月7日にBinance NFT上で開催。
それぞれの作品が最低価格1万BUSD(バイナンスUSD)から始まり、合計の落札額は44万ドルに達しています。
(参考:ロシアのエルミタージュ美術館、バイナンスのNFTオークションで44万ドルを調達 | Cointelegraph | コインテレグラフ ジャパン)
なぜ美術館でNFTが扱われるのか
デジタルデータであるNFTを、なぜ美術館が扱うのでしょうか?
その理由には、大きく分けて3つ考えられます。
- 利益のため
- 地域活性化のため
- NFT普及のため
とくにNFT普及については、NFT鳴門美術館が設立される目的として挙げられています。
それでは、NFT美術館を運営することにどのようなメリットがあるのか、順に見ていきましょう。
現物とNFTの両面から販売アプローチをかけられる
美術館で展示している作品をNFT化すれば、現物を見に来た人とNFTを探している人の両方へ向けて販路を作れます。
どちらかを販売できる可能性が高まりますし、片方が売れればもう片方の購入も検討されるでしょう。
また、NFTであれば輸送などの手間がなくなり、商品を提供できるターゲットが広がります。
このように、現物販売だけでは届かない客層へリーチできるメリットを生み出せるのが、美術品のNFT化です。
地域の活性化につながる
注目を集めているNFTをテーマに取り上げることで美術館に人が集まり、周辺地域の活性化が期待できます。
もし美術館に観光客が訪れるようになれば、交通の便をよくするためインフラ整備が進み、観光スポットも増えていくでしょう。
こうした地域おこしの一環として美術館のテーマにNFTを据えるのは、検討する価値のある選択肢の1つです。
NFTと社会の隔たりを緩和できる
アートの扱いに厳しい美術館がNFTを扱うことで、NFTに対する社会のイメージがポジティブになるでしょう。
現状のNFTマーケットプレイスでは出元がわからない作品で溢れているため、信頼性に欠けるイメージが定着しています。
しかし、これまでも美術品の審査や鑑定をおこなってきた美術館がNFTを扱うようになれば、定着したイメージを緩和できるかもしれません。
また、物理的にNFTと触れられる機会が増えるので、NFTの普及と発展にもつながるでしょう。
まとめ:今後もNFTの動きには注目したい
今回は美術館が関係するものに絞ってNFTの動きを紹介しましたが、物理的な展示会やオークションは世界中で数多くおこなわれています。
今後もNFTに特化した美術館やギャラリーが増えていき、ニュースサイトなどで掲載されるのを目にする機会も増えていくことが予想されます。
あるいは、美術館特有の新しい形でマーケットやサービスが登場するかもしれません。
ますます発展していくNFTの流れに乗り遅れないよう、アンテナを広く持って情報を集めていきましょう。