GameFi市場の興隆により、ブロックチェーンゲーム(以下、BCG)の発展が期待されています。
しかし、「Play to Earn(P2E、遊んで稼ぐ)」の側面が過度に注目されたり、ゲームをプレイせずに投機目的だけで参加したりと、まだまだ道半ばのゲームカテゴリーだと言えるでしょう。
こうしたなか、既存のBCGに一石を投じる可能性を秘めているのが、ドバイを拠点に世界に挑む若手起業家の横山康助(@KY_MetaStrikers)さんです。
PvP NFTステーキング サッカーゲーム「MetaStrikers」を創業したきっかけや目指す未来について、話を伺いました。
起業家仲間がBCGで大損......。GameFiに興味を持つように
── まずは横山さんが起業した経緯について教えてください!
私の父親がITコンサルの経営をしており、高校生の頃から父親の仕事を手伝っていたんです。
そんななか、「これからは英語が必須になる」と言われ、カナダに1年間留学へ行くことになりました。
現地で生活していくうちに、日本と海外とのギャップを感じるようになって。
日本は大学を卒業したら企業へ就職するのが一般的だと思うんですが、カナダではミュージシャンやクリエイター、起業家など、それぞれ夢を持っていて、「なりたい自分」に向けて道を切り開いていくマインドがあるんです。
親や友人、学校の先生といった周囲の人も、その夢に対して応援する風潮があり、ひとつの夢に向かって突き進める環境が恵まれているなと感じていました。
私自身も、高校の頃から起業したいと思っていましたが、周りからは「やめとけ」、「どうせうまくいかない」などとダメ出しされていましたね。
それでも、大学生になってからは個人事業主としてWebメディアの運営やSNSマーケティング、YouTubeの運用などのビジネスを行い、事業売却させることができたんです。
そこから、起業家として重要なファイナンスを学ぶためにM&Aの仲介会社で働いていました。
その後、今は休止しているんですが、ラテン語で夢(ソムニウム)を意味する社名の会社を立ち上げ、NFT支援の仕事をしていました。
── NFTからGameFiに興味を持ったのはどんなきっかけがあったんですか?
尊敬する起業家仲間がBCG(ブロックチェーンゲーム)のポンジスキームの仕組みによって、数百万円もの損失を被ったのを知って。
それが、GameFiに関心を持つきっかけになりました。
以前からクリプトの投資はしていましたが、小さい規模でやっていては、自分の目指す世界は叶えられない。
そう感じていたところに、知人がBCGで大損したのを目の当たりにし、「GameFIの領域で自分の理想とするゲームを創りたい」と思うようになったんです。
また、カナダに留学していた際にボランティア活動として、難民の方々のサポートをしていた中で、世の中には多くの人が戸籍の問題等で仕事ができない環境にあることを知っていました。
僕自身もプレイはしていましたが、Axie Infinityが多くの人々へ新しいお金の稼ぎ方、そしてそれがスマホ一台で実現できることが証明され、僕自身必ずしたいと思っていた社会貢献の文脈へ大きく可能性をもたらしたと思います。
その部分も僕らは突き詰めていき、エンターテインメントの枠を超えた可能性を広げたいと思っております。
BCGではAxie Infinityが「 Play to Earn」の代表格として有名ですが、エンタメ面・社会貢献面でそれを超えるようなBCGを生み出し、グローバルで勝負したい。
このようなことが、「MetaStrikers」(メタストライカーズ)を開発した背景になっています。
従来のBCGとは一線を画す要素を取り入れた「MetaStrikers」
── MetaStrikersの目指すビジョンや理念について教えてください。
「運営者とプレイヤーが同じ目線で稼ぐこと」
これが MetaStrikersの目指すエコシステムです。
もともと運営メンバーの多くは、プレイヤーとしてBCGを楽しんでいましたが、「プレイヤーから稼ぎたい運営者」と「ゲームをプレイして稼ぎたいプレイヤー」という、いわばコンフリクトが生まれる構図になっているがゆえ、長期的に持続するトークノミクスを作れないという課題がありました。
MetaStrikersは従来のBCGにはない、ゲームとしての楽しさや面白さを追求し、さらにトークノミクスに関しても「一生Earn(稼ぐ)し続けることができる」というのを踏まえて設計しています。
また、運営者とプレイヤーがフラットな関係性を構築し、DAOに近いコミュニティを作っていくことで、エコシステム拡大によってトークン価格が上昇し、それに応じて資産も増えていく組織体系を目指しています。
思うに、現状のゲームパブリッシャーが出すのは、あまり本質的でないと感じていて。
例えばモバイルネイティブのゲームが台頭した際には、モンストとパズドラの二強だったわけです。
それがもし仮に、プレイステーション上でそれらのゲームをリリースしても流行らなかったと思うんです。
翻って、興隆を見せるWeb3においても「Web3ネイティブ」のゲームがあると考えており、それを体現できればヒットタイトルを生み出せると捉えています。
── BCGで大切になる要素はどのようなものですか?
BCGをプレイする上での楽しさの要素は3つあります。
・戦略性
・育成
・運
前提として、お金はどこからともなく出てくるものではなく「お金のないところから、お金は生まれない」ということを理解しておくのが大切だと思います。
要はBCGで全員が稼げるわけではないということです。
それでもお金がある程度稼げないと、ユーザーの離反につながってしまう。
なので、トークノミクスの設計が鍵になるわけです。
そこで運営メンバーとして、「ポンジスキームからどうユーザーを守るか」という視点から、MetaStrikersでは公平性を高め、先に挙げたBCGならではの楽しさの3大要素を追求しています。
また、より多くのゲームをプレイし、勝利することで報酬を増やしていく“ワクワク感”を醸成することで、ゲームが盛り上がっていくのを目指しているんです。
運営者とプレイヤーが同じ目線に立つDAO的アプローチがユニーク性を醸成
── MetaStrikersならではのユニークな点や工夫していることはありますか?
MetaStrikersは「PVPのコーチ型NFTサッカーゲーム」を掲げていて、初期ユーザーが入りやすいような設計を心がけています。
プレイする前にNFT(ストライカー)を4体購入し、自分だけの理想のチームを作るためにキャラクターを育成していくわけですが、試合相手との相性を鑑みてチームの戦略を立てるなど、戦術の優劣性や運といった要素も、ゲームの勝敗に左右するので、頭脳明晰な人が有利にならないようなゲームになっているんです。
さらに、ゲーム内で使用できるユーティリティトークン「$LUMP」は、ゲーム内で稼いだものだけに限定しています。
よくゲームを有利に進めるために、CEXやDEXからユーティリティトークンを買ってきてプレイするのが横道になっていますが、MetaStrikersではウォレットへの送金ができないようにしています。
このようにフェアなゲームを作ることで、MetaStrikersを多くの人にプレイしてもらいたいと思っています。
── とても面白そうですね!プレイヤーは監督目線で自分のサッカーチームを作っていくのは新鮮だなと思いました。
ありがとうございます。チームの試合はもちろん、トレーニングやミーティング、キャラクターのコンディション管理もあり、さらにはキャラクターの怪我や引退もあるなど、サッカークラブ経営の雰囲気を味わえるゲームとなっています。
特徴的なのは、プレイ時間に左右されないような設計になっていること。
普通は、ゲームにかけた時間に応じてレベルが上がったり強くなったりするわけですが、そうなると結局は仕事をしていないフリーターや無職の人がゲーマーとして強くなってしまう。
それだとアンフェアなので、仕事をしながら片手間でゲームをプレイする人でも楽しめるよう、練習から試合に臨むまでの一連の時間を短くするなど、誰でも参加しやすいようにしています。
なぜ、こうしたことができるかというと、DAOのようなアプローチを取っており、よりユーザーに還元することを主眼に置いているからです。
NFTセールを行い、ユーザーから収益を得るような形ではなく、MetaStrikersをプレイするユーザーが増え、エコシステムが拡大していくことで、トークンがよりもらえるようになる。
そうなれば、ユーザーもより稼げるようになり、運営も潤っていく。
このような仕組みを作っていくには、やはり運営とプレイヤーの目線合わせがとても大事になると考えています。
「反骨精神」と「夢」を持った若手スタートアップ集団の野望
── チームメンバーについて、どういう人が参画しているのでしょうか?
現在、フルコミットメンバーが8名で全体では10名ほどが参画しているプロジェクトになります。
BCGで痛い目にあった起業家仲間の2人、東工大の学生でDEXやNFTマーケットプレイスの開発経験があるフルスタックエンジニアと、自分の4人で最初は始めました。
そこから、旧知の仲間を集めていった感じです。
音楽プロデューサーには、高校からの親友を迎え入れたんですが、プロのラッパーにトラックを提供していたりとハイスキルの人材で。
また、幼なじみの友人で、グローバルのマーケティング経験がある女性は、デザイナーとしてジョインしてもらっていて、次期CMOになるポテンシャルを備えていたり。
チームメンバーそれぞれが個性豊かで、かつ何かしらの夢を持った人が集まっているんです。
共通しているのは、「反骨精神」があること。
多かれ少なかれ、何かに挑戦しようと思った時に、周囲から「無理だからやめておけ」と言われた経験がみんなあるんですよ。
平均年齢が22歳の若手スタートアップ集団ですが、「逆風を乗り越えて絶対に成功してやる」という熱い思いを抱きながら、日々頑張っています。
── 最後に今後の目標について教えてください!
BCGのマスアダプションは、既存の組織体系が変わらないと難しい側面もあると感じています。
MetaStrikersが目指すのは、株式ではない新しい組織、すなわちDAOのようなコミュニティを醸成し、長期的にトークン価格が維持され、ゲームし続けられること。
プロサッカー選手の本田圭佑さんも、MetaStrikersのビジョンに共感し、投資家 兼 GMで参画してもらっているので、しっかり結果を出して恩返ししていきたいですね。
サービス開始から1年でユーザー数が15万MAUを通過点として、2025年までに時価総額1000億のユニコーン企業を目標に、グローバルで勝負できるようにしていきたい。