羽田にweb3界隈が集結【HANEDA-WEB3.0-EXPO-2023】イベントレポ

こんにちは!NF times(エヌエフタイムス)の古田島です!

今回は、2023年2月10日(金)、11日(土)に開催された「HANEDA WEB3.0 EXPO 2023 ~The bridge to the world through the Blockchain~」の2日目に参加し、そのレポートについて記載したいと思います。

“羽田空港を舞台にweb3領域の国内外最前線プレーヤーに出会えるEXPO”と題した本イベントは、web3業界の有識者の方々が登壇するトークセッションや、web3関連のビジネスを手がける事業者のブース展示がなされていました!

ブースエリアには20以上の企業が出展!

イベントは、羽田空港第1ターミナルの6階にあるギャラクシーホールで行われ、窓の外からは羽田空港を離発着する飛行機の姿を眺めることができました。この日、窓の向こう側には富士山の姿も見えました!

羽田空港は旅行でしか行く機会がなかったんですが、こうしたイベント目的で来るのは初めてだったのでとても新鮮でした。

各ブースでは、来場者と出展企業との交流や情報交換、談笑などが見られ、web3に対する関心の高さを垣間見るような盛況ぶりでした。

参加者はweb3業界に従事する人、web3に興味があって会場を訪れた人など、さまざまな目的を持った人たちが訪れていたように思います。

目次
  • web3で世界をリードするために!日本ならではの戦い方を有識者らが議論
  • テーマ①:web3の特徴や意義のおさらい
  • テーマ②:日本がweb3の世界の先頭に立てる可能性
  • テーマ③:シンガポールにおけるweb3の現状
  • テーマ④:日本のweb3をリードするアスターの戦い方
  • テーマ⑤:NFTの活用における未来
  • テーマ⑥:DAO新法への期待

web3で世界をリードするために!日本ならではの戦い方を有識者らが議論

イベント2日目の最初に行われたトークセッションは、「さまざまな角度から、web3業界における日本ならではの戦い方を議論 〜日本がweb3業界のリーダになるために日本企業はどうあるべきか?」と題し、各界の最前線で活躍するスピーカーが登壇しました。

▼スピーカー:
伊藤穰一さん(デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト / 千葉工業大学 変革センター センター長)
平将明さん(衆議院議員 自由党 web3プロジェクトチーム座長)
渡辺創太さん(Astar Network ファウンダー/Startale Labs CEO)

▼モデレーター:
梅澤高明さん(A.T. カーニー 日本法人会長 / CIC Japan会長)

今回のトークセッションのサマリーは以下になります。
①web3の特徴や意義のおさらい
②日本がweb3の世界の先頭に立てる可能性
③シンガポールにおけるweb3の現状
④日本のweb3をリードするアスターの戦い方
⑤NFTの活用における未来
⑥DAO新法への期待

テーマ①:web3の特徴や意義のおさらい

社会のデジタル変革が進み、最近ではDXという言葉があらゆる業界で叫ばれています。

そのようななか、「web3は価値の交換や関係性、権利や約束などのレイヤーをデジタル化するのが大きな特徴」だと伊藤さんは説明します。

「さまざまな取引や約束事がブロックチェーン上に自動で刻まれることで、今まで手動でやっていたものがソフトウェアで完結するようになります。ビジネスもガバメントもコミュニティもソフトウェアになっていくことができるようになるなか、一番簡単なソフトウェアの使い方は、投機目的を持ってNFTや暗号資産を売買することでした。そこから、今後は社会のインフラとしてweb3をどう使っていくのかという視点が大事になってきます」

テーマ②:日本がweb3の世界の先頭に立てる可能性

web3業界を国家の立場から推進する平さんは、まずWeb2.0で日本が完全に乗り遅れ、海外のプラットフォーマーに覇権を持っていかれた際の状況について述べました。

「Web2.0が隆盛した頃の日本では、レギュレーションとテクノロジーがミスマッチしていて、立ち止まっている間に、海外のプラットフォーマーが次々と頭角を現し、市場を席巻していきました」

今回web3の波がきているなかで、また同じような過ちをおかし、乗り遅れるわけにはいかない。
そのような過去の反省を生かし、2022年はweb3関連の法整備や取り組みを加速させてきたと言います。

「レギュレーションや税制のデザインに着手してきた2022年ですが、クリプトウィンターの到来やFTXの破綻など、web3業界にとっては大きな出来事が起きた時期でもありました。特にFTXの破綻事件は、世界中で大きな波紋が広がりましたが、そこで動揺することなく規制と税制、ステーブルコインの法整備などを進めてきました」

過去のマウントゴックス事件やコインチェック事件などで痛い目にあってきたからこそ、「1周回って日本がweb3の世界の先頭に立てるチャンスが巡ってきている」と平さんは見解を示しました。

テーマ③:シンガポールにおけるweb3の現状

その一方、シンガポールにおけるweb3の現状について、渡辺さんは「LUNAショックやFTXの破綻により、国民の間では暗号資産に対するネガティブなイメージが先行している」と話します。

「中国が富裕層の締め出しを行った影響で、シンガポールに20兆円くらいの資金が流れていると言われていて、政府としてもカッティングエッジなクリプトに張る必要性が薄れてきています。もちろん、最先端の技術を取り入れていく姿勢は引き続き変わらないものの、以前のようなクリプトに対する期待は少なくなっていると思います」

こうしたなか、伊藤さんはweb3における日本の大企業の動向について語りました。

「三菱UFJ信託銀行が次世代のデジタル基盤として開発に着手しているステーブルコイン『Progmat(プログマ)』、NTTドコモがweb3に6,000億円の投資など、世界に先駆けた動きが見られ、さらにはweb3推進に関する部署を新設する大企業も増えており、世界から見ても日本のweb3に対する動きは活発化してきている印象を抱いています」

テーマ④:日本のweb3をリードするアスターの戦い方

2019年に起業した渡辺さんはその当時、日本の税制が整っていなかったことから、シンガポールを拠点にすることを決意したそうです。

「起業当初は、日本でトークンを持っていると、それが期末に課税対象となり、納税義務が発生する法制度でした。スタートアップの起業家からすれば、かなりの負担を強いられる状況でした。それが、ここにいる平先生のご活躍のおかげで、現在は法改正によってその問題が解消された。今後、アスターに続くweb3スタートアップが生まれる土壌が整ってきたなと感じています」

日本発のレイヤー1 パブリックブロックチェーンとして、グローバルで勝負を仕掛けている渡辺さんですが、「2023年はリソースの9割を日本で使っていく」と語ります。

「直近のトピックではトヨタ自動車協賛で行う『web3ハッカソン』の開催を発表しました。『トヨタの従業員向けにDAO支援ツールを開発する』というのをハッカソンのテーマに置いています。今後、日本でのプロジェクトの進捗を次々と公表していけると思います」

また、「孫さんのタイムマシン経営ではなく、アービトラージ経営を実践して世界で戦っていく」と渡辺さん独自の経営に対する考え方を披露しました。

「web3の最初の提唱者であるGavin Wood氏やコインベースからの出資、そしてバイナンスUSへの上場など、海外でプレゼンスを高めた後、日本に逆輸入する形でユースケースを作りにいく。そこで大企業とシナジーを生み出し、成功事例を生み出していけば、アメリカでも戦いやすくなります。アメリカでは、最初は日本発のブロックチェーンと見られていたのが、2~3年後にはグローバルなブロックチェーンだと言われるように、2023年は日本でしっかりと地固めし、結果を出していきたい」

web3のデフォルトはグローバル戦であり、経営資源となるヒト・モノ・カネを集めやすく、かつユースケースを作りやすいところからビジネスを展開していくことが肝になると渡辺さんは言います。

テーマ⑤:NFTの活用における未来

セッションの後半には、NFTについて議論が展開されました。

NFTアートやNFTゲームが生まれ、今後より一層NFTへの関心が高まり、さまざまなユースケースが期待されていますが、伊藤さんは「不動産やサプライチェーンにNFTが組み込まれていくのでは」と予測します。

平さんは「NFTがあらゆるシーンに入っていける可能性があるからこそ、イマジネーションできるかどうかがすごく大事になる」と話します。

「単純に暗号資産の相場を追ったり、NFTアートを売買して利益を追求したりするだけでは、web3の本質を見誤ってしまうでしょう。こうしたなか、地方創生 × NFTの事例として、錦鯉の名産地である新潟県・旧山古志村の『Nishikigoi NFT』や、北海道のニセコが発行したスキーNFT『ニセコパウダートークン』など、NFTをうまく活用して地方活性化や新たな観光体験の創出にチャレンジする流れが生まれており、非常に良い兆候だと感じています。ただ我々としては、あくまでweb3での取り組みやビジネスを興そうと思ったときに、税制や業法がハードルにならないようにするのが役目だと考えています」

テーマ⑥:DAO新法への期待

セッションの終盤には、DAOについてもディスカッションが行われました。

とりわけ、期待が高まるDAO新法の施行ですが、平さんは「現在、世界の法律を取り寄せ、さらには日本でweb3に精通した弁護士とも議論を重ねている」と述べます。

「将来的には1つのカテゴリーを法制化しようと考えています。DAOはさまざまなものが出てくると思いますが、法で全てのものはカバーできないゆえ、法律の外は従前のグレーゾーンと変わらないかもしれませんが、『合同会社をベースにしたDAOを法制化できないか』というのを議論しているところです。昔と違うのは、さまざまな業界の方々と議論するなかで、SNSを通じてやりとりできること。これからもスピード感持って、ディテールを詰めていきたい」

これに対して渡辺さんは「もしDAO新法ができれば、アスターが最終的にDAOを目指しているため、日本で登記したい」としつつ、「2023年が日本のweb3にとって重要な年になる」と話しました。

「海外では軒並み、web3に対して及び腰のなか、日本の起業家、政府、大企業がお互いに足並みを揃え、協力し合いながら“web3の黄金期”を作っていくことが求められると思います。アスターとしても、最先端のユースケースを大企業と見出し、世界に打って出たい」

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